女性のうつ病有病率は男性の2倍、SNSと埋まらないジェンダーギャップの相関

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今年9月に書籍『なぜアーティストは壊れやすいのか?』を出版した、音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦。同書では、自身でもアーティスト活動・マネージメント経験のある彼が、ミュージシャンたちのエピソードをもとに、カウンセリングやメンタルヘルスに関する基本を語り、アーティストやスタッフが活動しやすい環境を作るためのヒントを記している。そんな手島が日本に限らず世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」。第4回は、クリエイティブ業界における女性アーティストのメンタルヘルス・ケアの向上と、ソーシャル・メディアに対して抱えている大きな不安について語る。


2019年2月、第61回グラミー賞の最優秀新人賞を受賞したデュア・リパは、「音楽は人を幸せにする力を持っているのに、ミュージシャンが対照的にメンタルヘルスの問題に苦しむのは皮肉だ」と、クリエイティブ業界でのメンタルヘルス・ケアの向上を訴えています。特に、女性のアーティストはソーシャル・メディアに対する大きな不安に苦しんでいること、芸術を仕事にしている女性たちの自殺する割合が一般的な割合よりも約70%も高いことを指摘し、音楽業界もそれに対応すべきだと主張しています。彼女が所属するマネージメント会社のタップ・ミュージックは、メンタルヘルスの周知活動や自殺防止の支援を行なっている団体に10万ポンド(約1400万円)の寄付を計画していることを発表しました。 



デュア・リパの言う「女性のアーティストはソーシャル・メディアに対する大きな不安に苦しんでいる」という点に関しては、最近では元KARAのク・ハラさんの自殺の一因でもあり、真剣に考えなければならない問題です。2017年のセキュリティブランド「ノートン」の調査では、日本人女性の46%が何らかの「オンラインハラスメント」の被害にあっており、32%の人がネット上のセクハラを経験していることがわかりました。オンラインハラスメントの被害の上位3位は、「悪意のあるゴシップやうわさ話」(46%)、「誹謗中傷」(34%)、「セクハラ」(32%)になります。これにより、被害を受けた女性の15%が、うつや不安神経症を発症してしまっています。

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