Reiが「友だち」という言葉に強いこだわりを持つ理由

「音楽と踊りは近いものがある」

─「DANCE DANCE」はタップダンスをフィーチャーした曲で、音響もとても印象的です。

一生懸命踊っている時は「あ、さっきのところ間違えちゃった」なんて考える暇もなくて。ただただ、今その瞬間の動きに没頭するしかないじゃないですか。そうやって夢中になって踊ることを人生に重ね合わせて作った曲です。夏にスペインに行ってフラメンコを見る機会があり、「踊り」を音で表してみたくなって。聴覚と視覚をつなぎ合わせるためにもタップダンスを入れたら面白いんじゃないかなと思ってアレンジに加えました。

─タップダンサーの當間里美さんとの共演はいかがでしたか?

めっちゃカッコ良くて、超興奮しました。専用の板にボーカル用の繊細なマイクを何本か立てて録音したんですけど、踊っている姿を見ながら「これも映像に収めたいな」と思いましたね。

─たった2本の足で板を踏み鳴らしているだけなのに、様々な音色が様々な帯域から聞こえてきて。本当に豊かなサウンドだなと驚きました。

そうですよね。最近はMPCやルーパーなどを駆使したり、演奏を同期させたりすることもありますし、そういう表現も大好きですが、その一方でこういうフィジカルでプリミティブなパフォーマンスというか。その人が、そこで表現しているものだけで成立している姿にはものすごく魅力を感じます。

音響的な部分に関しては、アルバムを通して「コントラスト」ということを意識しました。よく画家が、白黒で絵を描く時、「下手な人は40パーセントから60パーセントの範囲でしか濃淡を作れないが、本当に上手い作家は白から黒の間の幅広い濃淡を駆使して絵を描く」と言いますよね。音楽でもまさにそうだなと思います。

─「今、ここ」に没頭するダンスを、人生に重ね合わせたというお話もとても印象的なのですが、Reiさんも踊るのは好きですか?

お風呂上りにブルーノ・マーズを聴いて踊ったりすることはありますよ(笑)。ダンスを観るのも大好きで、ピナ・バウシュや菅原小春さん、仲宗根梨乃さん、セルゲイ・ポルーニンの踊りはよく観ています。音楽と近いものがあるとも感じています。センスだけでは表現できない、日々の鍛錬に裏打ちされた圧倒的な技術力に感動するところとか。

─個人的には「Little Heart」の、ビートリーな雰囲気がとても好きです。

この曲は、先にプロットを書いたんです。「毎日泣いている女の子が、自分の涙でハートを溶かし、だんだん小さくなって最後には消えてなくなっちゃう」というお話をまず作り、それを歌詞やサウンドに投影していきました。TACOMA FUJIというブランドをご存知ですか? そこのお洋服って一つ一つに物語が付いているんです。例えば……牛がUFOにさらわれているイラストのTシャツがあったとして、そのイラストにまつわるストーリーが設定されているんです。「とある8月の夜、宇宙人がUFOに乗って埼玉の畑にやってきて」みたいな。

─あははは、面白いです(笑)。

TACOMA FUJIさんのお洋服はどれも可愛いんですよ。吉澤嘉代子さんも、物語に音楽をつけるということをやっていて。一度自分でもやってみたかったんですよね。

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