Reiが「友だち」という言葉に強いこだわりを持つ理由

Reiが考えるSNSとの向き合い方

─Reiさんは、SNSに対してどんな距離感で向き合っていますか?

お客さんとつながるツールではあるので、そういう意味ではリリースした時とか、声が聞けるのは嬉しいと思います。ただ、そんなに器用な方ではないので、自分の感情や日々起きたハプニングという「限られた水」を、FacebookやらTwitter、Instagramといった蛇口に、まるでビーカーで分けるように出力しなければならないのはもったいなく思える時もあって……(笑)。「これ、曲になるからツイートしたくないな」と思うこともたくさんあるし、かといって告知ばかりでもなあって思うんです。

今は、自分の見え方までもコントロールされている方が沢山いらっしゃいます。しかもプロモーションではなく「表現の一部」としてSNSをうまく使っている。きっと私のSNSをフォローしてくださっている方も、私の音楽だけでなく「こういう生き方っていいな」と、人としての魅力がなにかしら伝わればと思い、続けていますね。

相変わらずTwitterでは、思想信条の違うもの同士の諍いや炎上が日常的に起きていますが、そのことについて思うことはありますか?

社会問題に対して、それが炎上したとしてもバズることによって、私を含めた10代、20代の子たちが関心を持つきっかけになっているなら、それはそれですごくいいことだと思っています。みんなで話し合わないことには解決しないことや、考えずには前に進めないことも沢山ありますし。

─確かに。誹謗中傷合戦ではなく、熱く意見をぶつけ合うのは本来健全なことではありますよね。

若い世代だけでなく、例えばご年配の方々が「今はこういう考え方が主流なのか」「自分の考え方は古いのだな」と気づくきっかけになったり、逆に「これは若い子たちに教えてあげよう」と思ってくれたり、お互いの世代に対して刺激を与え合える場だったらいいなと。そこは俯瞰して感じるところではあります。

あとは、そういうディスカッションをフィジカルなものに変えていけたら一番いいのかなと思います。ネット上で行われているのは、匿名で書き込んでいらっしゃる方もいるので、本物のディスカッションのようで、そうじゃないところもあると思うんです。そこがフィジカルに転換され、ジェンダーやカルチャーなど様々なトピックについて顔を突き合わせて話せる機会が増えたらいいなとは思っています。

─もはやネットがなかった頃の記憶も薄れてきているのですが、友だち同士の繋がりって昔はどうだったかなと思う時もあります。毎日LINEで繋がっているのが友だちなのか、会うのは数年に一度では友だちと言えないのか?とか。

「友だち」という言葉には愛憎入り交じる気持ちがすごくあって。幼少の頃から音楽に生きていたので、人付き合いはある程度あきらめたり、犠牲にしてきました。自分で選んだ道とはいえ、未だに本物の信頼関係とは何か、わからずに思い悩む場面が日常的にあります。

─そうだったんですね

なので「友だち」という言葉には強いこだわりがあるんです。それも、この曲に含まれたテーマではありますね。付け加えると、社会人になって気づいたのは「真心は伝わる」ということでしょうか。矢野顕子さんの「電話線」という曲に、“細い声をのせた電話線は 夢中で空をかけていくの”という歌詞がありますけど、ツールはLINEでも手紙でも電話でもなんでも良くて。目に見えない思いを相手に届けたいという気持ちは大切にしています。

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