Reiが「友だち」という言葉に強いこだわりを持つ理由

『SEVEN』でテーマにしたギターとは?

─これまでReiさんは作品ごとにテーマとなるギターを決めてきました。それも今の話に通じるのではないかなと思ったのですが、今作『SEVEN』はどんなギターがテーマでしたか? 

今回はTeisco(テスコ)というドメスティック・メーカーの、いわゆるヴィザール・ギター(風変わりなギター)と呼ばれるものです。「Del Rey」という輸出用のギターなのですけど、名前の中に「レイ」という私の名前が入っているし、以前からドメスティックで気を衒ったようなギターを使ってみたいという思いがあったので、今回起用させてもらいました。個性的な音がするので、バッキングというよりは「ここぞ」というポイントで演奏しています。

─ちなみに「7thコード」を主役にするというのは?

7thコードを多用するということではなく、このアルバムを象徴する響きというか。本の表紙のような役割にしたいと思いました。なので、曲の中のキーポイントになるようなところに「さし色」として配置するような感じです。

─7thコードはReiさんにとってどんな存在なのでしょうか。

私の中で7thというのは、例えばゴレンジャーの中ではキレンジャーやミドレンジャーのような、バイプレイヤー的な役割を持ちつつ、ダークホースの存在感を放っているというか。ナナメの立ち位置がすごく気に入ってます。ただのメジャー・コードやマイナー・コードと違って情緒がありますし、細かい色彩を表現できる響きの一つだと思います。

─冒頭曲「Territory Blues」は、“立ち去ってもいい 負けてもいいんだけど 逃げるつもりはない”という歌い出しから最高ですね。

ありがとうございます。「テリトリー」は「縄張り」という意味ですが、私は「居場所」という解釈でこの曲を書きました。居場所というのは自分にとって安心できる場所であり、自分を高めてくる場所だということを、今住んでいる東京という街が気付かせてくれました。

自分にとって、ただ「居心地がいい」だけの場所は自分自身を腐らせてしまうし、いろんな意見があって、それを自分なりに咀嚼して血肉にしていくというプロセスが、自分を高めると思うんです。ただ「楽しかった」という思い出よりも、仲間と現実的なディスカッションを重ねていくうちに素晴らしいものを生み出した経験の方が、ずっと自分の中に爪痕を残しているなと。そういう体験から生まれた曲です。



─落ち着ける場所であり、自分を高める場所。それを見つけるのはなかなか難しい気がします。

確かにそうですね。でも居場所というのは、そこに存在しているものでもあるし、自分で作り上げていくものでもあると思うんです。そういうメッセージも少なからず含んでいます。

居場所は「探し求める」だけでなく、自分で「築き上げる」ものでもあると。

私の周りには「居場所がない」ということで、悩んでいる帰国子女の子がたくさんいました。アメリカにいても、日本にいても、家に帰っても学校に行っても、なんだか自分が「fit in」、「belong」していない感覚というか。ほんと、居場所についてのディスカッションは、幼い頃から何度も同世代としてきたんですよね。今、改めてそういうことについて考えるのは、非常に有意義な経験でした。

─続く「Connection」は、セルフライナーによれば「誰かと想いあって、つながっていると 何を根拠に定義しているのか?」を考えて作ったそうですね。



この曲はハイブリッドを目指して作りました。スライドギターを多用したアレンジで、伴奏もソロも、ダビングのギターもスライドを使っています。トラックはより現代的にしたかったので、打ち込みのリズムを実際に叩いたドラムとブレンドしました。シンセベースと生ベースもブレンドしています。歌詞は人間関係がテーマです。普遍的なテーマでありながら、ネット社会が普及してきたからこそ浮き彫りになってきた、「本物の人間関係とは?」、「繋がっている」、改めて問題提起したいという思いがありました。

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