山嵐・武史 ミクスチャーロックの重鎮、結成23年目の挑戦

「いろんなバンドから刺激を受けるし、俺らも負けてられない」

90年代からの盟友・マイナーリーグを対バンに迎えたツアー初日の千葉LOOK公演。僕も足を運んだが、観客のノリや騒ぎっぷり、タガの外れた熱狂度は『未体験ゾーン』の頃に近いものを感じた。

「これこれ!って、自分たちもすげえ嬉しかった。1本目にあれを感じられたから、その気持ちを忘れずにやればもっといいライブができるのかなと。気づいたら20年以上やってて、バンドをやっていることが当たり前になってるけど、当たり前じゃなくなる時期が来るかもしれない。いままで本気でやってなかったわけじゃないけど、すべてを賭けて、もっと本気でやらなきゃダメだなと。いろんなバンドから刺激を受けるし、俺らも負けてられねぇ!と思うから」

90年代から活動してきた山嵐は先輩バンドの背中を見るように、ライブ前も普通にお酒を飲んでいた。それがごく当たり前の景色だった。打ち上げの席でもお酒を一滴も飲まない若いバンドマンからすると、信じられない話だろう。しかしここ数年、山嵐はライブ前にお酒を飲むのを控えている。これはバンドにとって大きな変化だ。

「だいぶでかいっすね(笑)。以前はひどかったですから。まあ、先輩からも飲んでやるものなんだって教えられてきたし、時代なんですかね。飲むから間違ってるとか、そういうのはないし、人それぞれですけど、俺らは飲まずにやろうと。そうすると、ライブ中に息切れもしないし、リズムも狂ってないから、ちゃんとしてます。長かったなあ、早く教えてくださいよ(笑)」

そう言われても困るが。そして武史と言えば、秋田県男鹿市で毎年開催されている人気フェス「OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL」を立ち上げた張本人でもある。07年に始まり、海辺を望む野外フェスとして今年で10回目を迎え、初の3デイズ開催も大成功に収めた。


Photo by Mitsuru Nishimura

「山嵐でLAツアー(99年)に行ったときに通訳してくれた人が男鹿出身で、その人が実行委員の人なんですよ。男鹿に遊びに行ってみたら、ここでライブやりたいよねっていう話になり……当時はこんなにでかくなるとは思ってなかったです。それで『来年もやる?』の繰り返しで、野外で10回目を迎えられたという。地元の実行委員会の人を含めて、みんなで作り上げてきたフェスだなと。気付いたら、風物詩的なフェスになりました。辺鄙な土地でやっているので足を運んでくれる人には感謝ですね。エピソードと言うと、高橋優がステージで初めてのフリースタイルを即興でやったんですよ。彼は秋田出身なんですけど、パンチラインのある言葉を超投げてきて、すげえな!と思いました。あと、打ち上げがとてもすごいんですよ(笑)」

それは多くのバンドマンから聞いたことがある。「OGA〜」の打ち上げは凄いと。

「宴会場を用意するんで。会場からホテルの途中にあるから、バスで強制的に連れて行くんですよ。みんなひどいです……まあ、これ以上はちょっと言えない(笑)」

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