「出演してくれたバンドの規模感が上がっていくイメージはありました」―KTRさんは元々、J-POP好きですし、ジャンルをごちゃまぜにする楽しさはわかってたわけですよね。そうですね。あとはライブがいいバンドが好きで。音源がよくてもライブが「う~ん……」ってバンドも世の中にはいるので、実際にライブを観て、いいと思ったらオファーするっていうスタンスでやってましたね。
―企画として、なんとなくイケるんじゃないかという予感はあったんですか。イベントとしてというよりは、出演してくれたバンドの規模感が上がっていくんじゃないかっていうイメージはありましたね。でも、REDLINE自体の規模感が上がるとは思ってなかったです。
―声をかけたバンドの反応はどうでしたか。「お客さん入るの?」って言ってるバンドもいたんですけど、普段のツアーではなかなか一緒にならないアーティストも多かったので、出会いのきっかけとして喜んでくれるバンドは多かったですね。実際、REDLINEをきっかけにお互いのツアーに呼び合うっていうこともけっこうあって。出会い系イベントです(笑)。
2016年出演、yonige(Courtesy of REDLINE)2013年出演、NOISEMAKER(Courtesy of REDLINE)―あはは! そして、次の年から一気に規模を拡大しました。初年度とは違い、LOW IQ & THE BEAT MAKERのようなベテランも出演したり。そうですね。イチさんやOi-SKALLMATESみたいなクラシックな世代とHEY-SMITHみたいな若い世代が交わることがなかったので。
―なるほど。初年度はジャンル間、次の年は世代間の融合を意識したんですね。例えば、HEY-SMITHとOi-SKALLMATESが世代を超えて、REDLINEを通じて共演してもらったり、そうやってバンドのことを考えた組み合わせはずっと意識してきましたね。
―2012年のSIMI LABとROTTENGRAFFTYの対バンなんてなかなか思いつかないですよ。こういう組み合わせは今後も永遠にないと思います。ここにG-FREAK FACTORY、SiM、Mop of Headなんかもいたわけですからね。
―しかも、この組み合わせを新木場STUDIO COASTにぶつけるという。はい、(客が)入んなかったですけど(泣)。
Courtesy of REDLINE
―でも、試みとしてはすごく面白いですよね。異種格闘技の動員の難しさは肌で学びましたね。実際にお客さん同士が交わるかと言われたらそうじゃないことのほうが多かったし。でも、これまでヒップホップを全然聴かなかったお客さんがこの日をきっかけにヒップホップを好きになったりすることが少なからずあったので、そういう人が1人でもいるなら続けようと思ってました。
―動員はひとまず置いといて、そういうお客さんがいれば成功なんじゃないかと。もちろん、アーティストに出てもらってるので、1人でも多くの人に観ていただくことも考えてはいましたけどね。
―これまでに印象的だった年はありますか。2013年に恵比寿リキッドルームでやった10日連続ライブですね。これは肉体的な疲労も含めてカオスだったと思います。この年は初めて海外のバンドにもオファーしてるんですよね。SiMと、彼らのルーツの一部にもなっているSKIDREDをどうしてもかけ合わせたくて。
2013年出演、SKINDRED(Courtesy of REDLINE)2013年のREDLINE、KTR氏と制作スタッフ一同(Courtesy of REDLINE)―なんでこんなことをやろうと思ったんですか。元々、リキッドルームは新宿にあったときから大好きなハコで、恵比寿に移ってからもうちのバンドのツアーファイナルとかでけっこう使ってきたし、REDLINE初年度でも使っていたので、リキッドルームというフィルターを通して何か面白いことができないか考えたときに「10本やってみようか!」っていうことになって。あのハコを10日間押さえられること自体がけっこう奇跡なんですけど。
―今だったらまず不可能ですよね。まず不可能ですね。当時もリキッドルームさんにこっちのわがままを聞いてもらいました。