億万長者の死の謎に「火に油を注ぐ」看守の逮捕劇

8月にジェフリー・エプスタインが死体で発見されたニューヨークのメトロポリタン矯正センター(Photo by JUSTIN LANE/EPA-EFE/Shutterstock)

米ニューヨークのメトロポリタン矯正センター(MCC)の看守2人が、今年8月に拘留中に死亡した億万長者の実業家ジェフリー・エプスタインの監視を怠ったとして逮捕された。

2人の看守、トヴァ・ノエルとマイケル・トーマスは嘘の供述をし、国を騙そうとしたとして起訴された。30分毎に囚人たちを見回るという指示が出されて2人は職務を怠ったにも関わらず、収容所の正式な記録書類には見回りを行ったと署名したことが追求されている。

当時、エプスタインは性的人身売買及び性的人身売買共謀罪でMCCに収容されていた。前の月の自殺未遂から自殺警戒監視されていた。
2人の逮捕は8月10日朝、66歳の実業家が房で首にシーツが巻かれた状態で発見され、後に死亡が確認された件についての捜査が始まってから初めてのものだ。 AP通信は、連邦検察が看守たちに司法取引を持ちかけ、嘘の供述をしたと証言させようとしたが拒否されたと伝えた。

アンドリュー英王子やビル・クリントン元大統領、そしてドナルド・トランプ現大統領といった権力者たちと繋がりのあった億万長者の実業家エプスタインは7月に逮捕され、性的人身売買と性的人身売買共謀罪で起訴された。裁判所文書には2002年から2005年にかけて「未成年の少女たちを性的に搾取し、暴行した」と書かれている。2020年に裁判を受け、45年の実刑が待っているはずだった。

元ニューヨーク東部地区連邦検事のダンカン・レヴィン氏によると、今回の件は連邦収容所で働く看守たちの厳しい労働環境に加え、監視不足や腐敗の横行を浮き彫りにした。「刑事弁護士やMCCに出入りしている人なら誰もがあそこは深刻な問題が山積みで、環境も劣悪だということを知っています」と彼は言う。「このような施設によく行く人なら誰もこのような事件が起きても驚かないと思います」

レヴィン氏曰く、連邦刑務所の看守がこのような職務怠慢で告発されるのは珍しい話ではない。「もし見回りをサボるのが犯罪ならかなりの数の看守が長期間収容されることになると思います」とレヴィン氏。「ここでの問題は隠蔽……今回の件の一番の問題は嘘の記録をした(疑いがあり)、MCCに収容されている囚人には同じ理由で服役している人がいるということです」

Translated by Mika Uchibori

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