ユアン・マクレガー、映画で演じたキャラクター・ランキング

26位 『ブラス!』(1996)
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Miramax/courtesy Everett Collection

北イングランドのとある町の炭鉱夫たちから成るブラスバンドは、炭鉱の閉鎖に脅かされ、どうやってそれに対処するべきかを探り出そうとする。マクレガーはイケメンの若いテナーホーン奏者を演じ、タラ・フィッツジェラルド演じるフリューゲルホルンの天才が街に戻ってくると、子供のときに彼女に恋をしていた気持ちを再燃させる。残念ながら、彼女は鉱山を閉鎖しようとする側で仕事をしている。この映画はラブコメの部分もあれば、負け犬の物語の部分もある。もちろん、ブラスバンドは選手権で演奏する。しかし何よりも、これは、死にかけている産業に命を捧げてきた労働者に対して政治的に鋭く視線を向けた作品だ。マクレガーは演技に常に一定の改良を施し、ブルーカラーの役では荒っぽい感じを出さないようにしていた。だが、本作品では、その考えを少しもてあそんでいる。マクレガーは最初穏やかな人のような印象を与えるが、恋に落ちた女性が自分たちの反対側で働いているかもしれないと思い始めると、彼の態度はガラリと変わってしまう。

25位 『美女と野獣』(2017)
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通常、このようなランキングには声優としての演技は含まれないが、(以下ネタバレ)マクレガはこの映画の最後にわずかだが自分自身の体でキャラとして登場するので、リストに入れることを許すことにしよう。また、彼はディズニーの傑作アニメを実写でリメイクした映画で傑出した役目を果たした1人であるので、リストに入れるのはいいことだ。マクレガー演じるルミエールは冗談が好きな上に思いやりのあるフランスの燭台で、ググ・バサ=ロー演じる羽ぼうきのプリュメットに恋をする。そして、この2人はスクリーン上での相性がとても良い。マクレガーは陽気な演技を見せ、この映画に必要とするふさわしい演技のトーンを捉えている。デタラメなフランス語のアクセントで話し、大方のその話し方には冗談めいた感じを含んでいて絶妙だ。それは全く現実的なものではないが、彼がとても楽しんでいるのは明らかであるので、我々が気にすることではない。

24位 『エージェント・マロリー』(2011)
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スティーヴン・ソダーバーグ監督のこのアクション映画は、隙のない強靭な女性の秘密諜報員が自分を裏切った男たちを倒していくというシンプルな娯楽作で、MMA(総合格闘技)の格闘家ジーナ・カラーノが銀幕デビューを飾ることをメインの意図とした作品だ。この映画には不思議なぐらいに有名俳優が勢ぞろいしているが、そのほとんどは使い捨てである。だが、マクレガーは主人公のかつての恋人で二重ボスを演じ、映画の主なヴィランの1人となっている。マクレガーが悪役を演じるのはいつでも新鮮だ。今回の場合、イケメンで信頼できるいい男のイメージで弄ぶことをハッキリと楽しんでいるので、特に惚れぼれとする。

23位 『ノーラ・ジョイス 或る小説家の妻』(2000)
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ユアン・マクレガーはジェイムズ・ジョイスを演じられるのか? 笑わないでほしい(少なくとも笑い過ぎないでほしい)。この映画は、『フィネガンズ・ウェイク』を書いたジョイスが労働者階級出身の活発な妻ノーラ・バーナクルとの恋愛に苦しみ、売れない空想家から不機嫌で無情な天才へ変容していく姿を見せつける激しいメロドラマだ。ストーリーが展開していく中、2人の結婚生活は大きく変化する。夫は妻に身持ちの悪さを感じ、恥と怒りに駆られる。これは難しい役だ。マクレガーは、その屈辱感をハッキリと見せながらも、作家として自分の中で強まっていく有毒性も伝えなければならい。天才的な作家を題材にした他の映画で見られるように、この作品は主人公の業績を映画として魅力的に見せることに苦労している。だが、マクレガーは全力を尽くし、それが映画の中で大変効果を上げている。

22位 『ウディ・アレンの夢と犯罪』(2007)
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犯罪と野心をテーマにして、ひねりの展開が続くウディ・アレンによるコメディスリラーの本作では、マクレガーとコリン・ファレルは兄弟を演じる。1人は口が達者な上昇志向のある男。もう1人がお人よしのバカだ。この兄弟は言いくるめられて、トム・ウィルキンソン演じるギャングと一緒に殺人の手はずを進めていくことになってしまう。マクレガーとファレルが非常に対照的であることが1つの理由だが、この映画は評判以上に優れた映画である。マクレガーは威勢が良くスマートであるが最終的に芯まで腐ってしまう。一方で、ファレルは心配性で、あまり明るくなく、最終的に罪悪感に悩まされる。2人の演技は各自の好きなようにやっているが、あまりにも広範囲に渡っている。2人をまとめると、表裏一体として捉えることができ、人間のありようについてゾッとするようなことを伝えている。

21位 『ブラックホーク・ダウン』(2001)
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リドリー・スコットが監督した強烈で非情なまでのこの映画は悲惨なモガディシュの戦闘を題材にして、有名俳優が多く出演しているが、不透明な戦場を速いテンポで混沌として描いているために、誰が出ているのか見分けがつかない。事務職に任命されたが、急きょ本物の戦闘で闘うことになる兵士を演じるマクレガーは、他の俳優に比べれば突出できている。実際に映画の一部で彼の顔が見られる。だが、最終的に彼は戦場の狂気に飲み込まれてしまう。泥沼へと見事に落ち込む中で、同時にキャラクターの持つ恐怖心や戸惑い、勇気を伝えている。

20位 『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)
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ジェダイとシスの間の永遠に続く戦いとは異なり、ジョージ・ルーカスが監督して激しく非難されたプリクエル3部作のエピソード2は、暗闇と光の間の戦いであり、下手な演技で表現される不自然な恋愛ものと独創的でかなり面白みのある宇宙ミステリーものの間の戦いでもある。この映画でついに、マクレガー演じるケノービがついに主人公として真価を発揮する。ルーカスは、マクレガーの鋭い眉毛とかすかな笑みだけではなく、彼が生まれ持った好奇心を効果的に利用している(その姿はまるで再びジャーナリストを演じているかのようだ)。この映画にもちょっとした陰影を巧妙に見せている。それは、このオビ=ワンはビジネスライク的なところだ。その一本筋の通った意思の硬さは、彼の怒れる弟子アナキン・スカイウォーカーがのちにフォースのダークサイドへと向かってしまう理由の1つだ。

19位 『ムーラン・ルージュ』(2001)
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この世界には2種類の人間がいる。『ムーラン・ルージュ』を愛する人と、そうではない人。劇場公開時に賛否が真2つに分かれた、バズ・ラーマン監督による熱気を帯びた華やかなこのミュージカル映画は、オペラ的なものとモダンなもの、魅力的なものと恐ろしいものが順番に登場してくる。間違いなくミュージカルの代表作となるもので、その一役を担ったのが、恋に夢中になる中で、不運に見舞われるパリのダンサー役のニコール・キッドマンのオスカーにノミネートされた演技だ。この映画での主役となる男側についてどう考えるべきか? 貧しい中、恋に悩む作家クリスチャンを演じるマクレガーは、恋に歌に忙しい。おかしな話だが、彼はその両方でかなり上手にこなしている。彼女は死んでしまうかもしれないが、彼こそが表に出てこないが映画の花なのだ。そして、マクレガーとキッドマンの間で相性の良さを見せることがないという事実でさえ、問題のようには見えない。ああ、神様!

Translated by Koh Riverfield

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