渋谷のナイトカルチャーを語りつくす3日間、WHITE NIGHT WEEKを振り返る

3日間にわたり渋谷で開催されたトーク&DJセッションイベント「WHITE NIGHT WEEK」。写真は「5G時代 ーデジタルテクノロジーが見据えるエンターテイメントの未来ー渋谷5Gエンタメテック会議 Vol.2」の出演者。(Courtesy of  WHITE NIGHT WEEK)

2019年11月5日〜7日の3日間、東京・TSUTAYA O-EASTにて開催された渋谷発のトーク&DJセッションイベント「WHITE NIGHT WEEK」。DJ、ラッパー、プロデューサー、アーティスト、アスリートなど幅広い分野、幅広い年代の人々が渋谷に集まり、クラブをメインにナイトカルチャーの歴史と現在、そして今後の展望や課題を浮き彫りにした。

DAY1の「ナイトシーンのリビングレジェンドが語る今昔、未来」のセクションでは、70、80年代のナイトシーンが全盛期のクラブを知り尽くした臼杵杏希子、佐藤俊博をメインスピーカーに迎え、写真を見ながら当時を振り返った。当時のナイトライフシーンは、若者にとっては普段出会えない人々に出会って交流でき、新たなカルチャーが生み出される大事な場所であったという。また、「東京・渋谷の夜を遊び続ける」のセクションでは、渋谷の都市開発によって、元々あった渋谷のユニークなお店がどんどん無くなっている現状への危惧を語り、外国人観光客が日本観光に求めている風景や店が少なくなり本末転倒だと問題提起、雑居ビルなどは残してユニークなお店を増やしていければ良いと展望を述べた。


Courtesy of  WHITE NIGHT WEEK

DAY2の「女性から見た、わたしたちのナイトカルチャーと未来」ではD J Licaxxxと3人制バスケットボールプレイヤーの桂葵がスピーカーとして登壇。クラブシーンで活躍するDJと、昼間は会社員として働き、夜は代々木公園のコートでバスケットをするアスリート、という異なる女性の視点から見た渋谷を語った。海外ほどDJが浸透しておらず、クラブ=危ない場所という偏見がまだある日本で、Licaxxxという女性DJが活躍し憧れのシンボルになることで、クラブやDJへの認識を変え、気軽に興味を持てる雰囲気を作り、客としてもDJとしても女性が増えて欲しいと述べ、女性が活躍できるシーンを牽引していく意志が感じられた。また、ストリートバスケというカルチャーでも、女性プレイヤーが集まっていける環境を作りたいと展望を語った。DJやクラブ、ストリートバスケットも、性別や年齢の関係なしに門戸が開かれているカルチャーであるのに、結果として女性が入りづらさを感じてしまうというのは、男性から見ても盲点だったと言える。


Courtesy of  WHITE NIGHT WEEK

DAY3では、「5G時代 ーデジタルテクノロジーが見据えるエンターテイメントの未来ー渋谷5Gエンタメテック会議 Vol.2」をテーマに宇川直宏、繁田光平、Naohiro Yako、CEKAIがトーク。モノ(コンテンツ)消費からコト消費の推移が始まったカルチャーは、5G回線時代前夜と言える現代は、YouTuberなど全員がコンテンツとなれる時代になっている。そして、5G回線は究極のコミュニケーションとなり、これからは「体験と現場で起こっている出来事が溶け合っていく」という言葉がとても印象的であった。5G時代には、視覚以外の感覚が飛ばせるようになり、例えば「渋谷のハロウィンの盛り上がりを遠隔地からリアルタイムで体感する」などが可能になるという。ただ、今のハロウィンにはかつて「渋谷系」という音楽ジャンルが流行ったような、渋谷で伝統的にあった音楽が不足していると指摘。高度なデータ通信が可能になる時代で、若者の街渋谷で生まれたカルチャーを融合させることができたその先に、世界とどう繋がっていくのかが大事だと希望を語った。


Courtesy of  WHITE NIGHT WEEK

3日間にわたって多様なトークセッションが繰り広げられた一方、DJセッションではDJ NORI、DJ EMMA、MIRU SHINODA、DJ WILDPARTY、7e、Sapphire Slowsが特別なパーティを彩ってくれた。通常は一般開放されていないTSUTAYA O-EAST5階バルコニーのウッドデッキテラスで、来場者たちは渋谷の夜景を眺めつつジョニーハイボール片手に音楽を楽しんだ。


Photo by Takanori Tsukiji


Photo by Motoki Takashima


Photo by Takanori Tsukiji


Photo by Motoki Takashima

ジェンダーや5G通信技術、インバウンド開発など近年特に話題に上がるテーマから、ファッションや音楽のカルチャーの発信地としての渋谷の姿まで多岐に渡って議論が交わされた「WHITE NIGHT WEEK」。登壇者も聴衆もお酒と音楽を楽しみながら、夜の渋谷の今後あるべき姿を冗談を交えつつ真剣に話し合う場面を目の当たりにして、これまでも今後も続いていく、渋谷のナイトカルチャーの誕生の一端を体感できる貴重なイベントだった。

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