ファンクとは異なる、句読点のないアフロ・ビートの躍動感? 鳥居真道が徹底解剖

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アフロ・ビートの躍動感はファンクのそれとはまた少し異なったものです。句読点的なものをつけずにループしていく様はある種、しりとり的と言えるかもしれません。「こぶたぬきつねこ」という『おかあさんといっしょ』で有名な歌があります。「こぶた たぬき きつね ねこ」という具合に歌詞がループ状のしりとりになった歌です。アメリカ産のファンクはJBがいうところの一拍目を強調する「The One」だったり、2拍目、4拍目を強調するバックビートなどが読点的な役割を担っており、目鼻立ちがくっきりしたところがありますが、アフロ・ビートはしりとりのループに近く、「こぶたぬきつねこぶたぬきつねこぶた…」というようにフレーズ同士が溶け合ってリズムの細かいグリッドが前景化しているように感じます。

当連載の前回分で取り上げたJingoの「Fever」にはクラーベの元になった6/8拍子のベルパターンが隠されているというようなことを書きました。4/4拍子のアフロ・ビートにもクラーベが隠されています。フェラ・クティの代表曲「Zombie」は2-3クラーベが、「Expensive Shit」は3-2クラーベがリズムの背骨になっています。「Chop & Quench(Jeun Ko Ku)」はもっとあからさまに3-2クラーベが演奏されています。「The Baal Shem Tov」も3-2クラーベがリズムの土台になっていると言えます。

クラーベは様々な音楽で聴くことができるリズム・パターンです。アフロ・キューバンではクラベスの演奏によってパターンがそのまま提示されているし、ボ・ディドリーは3-2クラーベをギターリフに転用して多くのヒット曲を生み出しました。ニューオーリンズのセカンドラインもクラーベが応用したリズムパターンです。

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