殺人罪で22年服役中の死刑囚、死刑執行が延期される

リード死刑囚の死刑は11月20日に薬物注射によって行われる予定だったが、15日、テキサス州仮釈放委員会は120日間の延期を全会一致で決定した。(Photo by Ricardo B. Brazziell/Austin American-Statesman via AP, File)

米テキサス刑事控訴裁判所が、ロドニー・リード死刑囚の死刑執行を延期する裁定を下した。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

リード死刑囚の死刑は11月20日に薬物注射によって行われる予定だったが、15日、テキサス州仮釈放委員会は120日間の延期を全会一致で決定した。それからわずか数時間後、州最高刑事裁判所はこの勧告を受け入れ、リード死刑囚の弁護団に無罪を証明する新たな証拠の提示を許可した。

リード死刑囚は1996年にステイシー・スタイツさんが殺害された事件で有罪判決を受けた後、すでに22年間服役しているが、本人は一貫して無実を主張してきた。これまでに彼の主張を裏付ける新たな事実も見つかっている。最初に容疑者として名前が挙がったのはスタイツさんの婚約者ジミー・フェンネル氏だったが、スタイツさんの体内からリード死刑囚の精子が見つかったため、彼が第一容疑者となった。最終的にリード死刑囚の有罪の決め手になったのは、「射精後の精子の寿命は24時間」という現在では信憑性のない科学的根拠だった(実際には、精子は射精後72時間生存できる)。リード死刑囚は裁判で、スタイツさんとの交際は互いに同意の元だったと証言した。弁護団によればこの裁判は、黒人であるリード死刑囚が白人女性のスタイツさんをレイプして殺したに違いない、というひどく人種差別的な見方に偏っていたという。

1998年の裁判から数年後、州の法医学・法科学専門家は3人とも全員が証言を撤回した。その一方で、リード死刑囚の容疑を晴らし、真犯人はフェンネル氏であることを示すような証拠があると名乗り出る者も現れた。フェンネル氏は女性の誘拐容疑で有罪を認めた後、数年間刑務所で服役したが、同房者だったギャング団Aryan Brotherhoodのメンバー、アーサー・J・スノウ氏の宣誓供述書によれば、リード死刑囚との浮気が原因でスタイツさんを殺したのだ、とフェンネル氏が自慢気に語っていたそうだ(おそらくフェンネル氏はアーリヤン・ブラザーフッドに気に入られ、守ってもらうつもりだったのだろうとスノウ氏は考えている)。フェンネル氏の弁護士は、この告白を否定している。

大勢のジャーナリストや活動家らがリード死刑囚の裁判をずっと追いかけてきた一方、彼の死刑執行予定日が間近に迫るにつれ、各方面の有名人らも彼の弁護に立ち上がった。リアーナやミーク・ミル、キム・カーダシアンら他多数のセレブリティが、リード死刑囚への支持を表明し、釈放を求めている。

Translated by Akiko Kato

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