自慰を禁じるインターネット・ミームに隠された「極右」の痕跡

Image by Shutterstock / Anna Shalam

1カ月間の禁欲チャレンジキャンペーンが生んだ、自慰する男性を揶揄する新たなミームとは?

インターネットの特定のエリアで長く過ごしていると、#NoNutNovember、略して#NNNというハッシュタグを目にしたことがあるだろう。世の男性諸君に1カ月間マスタベーション(または大多数の男性の場合、セックスも含む)を控えるよう呼びかける年に1度のキャンペーンNo Nut Novemberは、元々アイス・バケツ・チャレンジやMovember(訳注:前立腺がん啓発運動として1カ月間ひげを伸ばし続けるチャレンジ)といったインターネット由来の現象のパロディとして登場した。そして50万人のメンバーを誇る反ポルノ運動のサブレディットNoFapの支持者らのより過激な主張と共に、ネットに広がるチャレンジのばかばかしさを笑いものにしていた(No Nut NovemberとNoFapの間に直接的な関係はないが、両者はしばしば混同されている。NoFapコミュニティの管理者マシュー・プラマー氏も、NoFapもSNSページで#NNNのミームを投稿していると言っている)。

基本的にNNNチャレンジ参加者のほとんどが、くだらない書き込みや、巷で過剰に言われている禁欲の利点を小ばかにするミームをツイートする口実として参加しているに過ぎない。だが、真に受けている人も大勢いる。少なくとも5万2000人がr/NoNutNovemberというサブレディットで、毎日どれだけ進歩したか(あるいは挫折したか)を逐一、熱心に記録している。r/NoNutNovemberのモデレーターu/yeevalの推測によると、投稿の約90%は「積極的な参加者」からのものだという。「もちろん、挫折したメンバーもたまに見かけますが、その後も社交と笑いのためにサブレディットに残ることもあります」

表面的には、No Nut Novemberは比較的無害なチャレンジだ。特にこれという理由もなく自慰を控えるのはばかばかしく思えるかもしれないが、面白いミームもあるし、1カ月間(自慰、性交を問わず)禁欲したからといって人が死ぬわけでもない。u/yeeval曰く、目的はポルノやマスタベーションそのものを敵視することではなく、男性に自慰の習慣を顧みてもらうことだという。「私の意見ですが、多くの場合みんな最初はミーム目当てでNNNに参加したんだと思います。でも何日か経つうちに、自分がいかにポルノやマスタベーションに依存していたのか気づき始めるんです」と彼は言う。プラマー氏も、NoFapの目的はマスタベーション全般をやめさせることではなく、男性が一時的にポルノ習慣から距離を置いて、「ポルノなしの穏やかな、衝動的ではない自慰生活」に回帰してもらうことだと語っている。

Translated by Akiko Kato

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