自慰を禁じるインターネット・ミームに隠された「極右」の痕跡

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性教育とNo Nut Novemberに参加する若者

だがCoomerの台頭は、男性のセクシャリティに明らかに保守的であることも含め、自慰反対運動が完全に無実だとか、単なるお遊びだと言い切れなくなっているようだ。事実、Z世代に対するベビーブーマー世代の批判を嘲るミームのパロディ「OK Coomer」の文脈でしばしば使われていることからも、主に若者発信の現象であることが伺える。若い世代はセクシャリティに関して、大人よりも健全で前衛的な見方をするのが普通だと思っていると、こうした事実はピンとこないだろう――だが、若年世代は前ほどセックスしなくなっている、という最新のデータが、これを裏付けているとレイ博士も言う。

通常セックスレスの現象は、ミレニアム世代の男性やzoomer(Z世代の人々)がより長時間ポルノを見るようになったせいだと言われる。それはある程度は正しいかもしれない。ただし、ポルノ鑑賞が男性の性生活にどれほど影響を及ぼすのか、という点に関して、研究結果は意見が分かれている。だが、経済的不安や恐怖を煽る禁欲一辺倒の教育などの社会文化的要因も、若者のセックスレス化の原因のひとつだ。「我々は何十年も、子供たちにセックスを怖がらなければいけない、特定の異性一人とのセックスだけが許されていて、道徳的だと教えてきました」とレイ博士。「それが今、子供たちは突然、セックスやセクシャリティに頭を悩まされているんです」

とはいえ、No Nut Novemberに積極的ではない男性も大勢いるし、全く見向きもしない男性もさらに大勢いる。Pornhubのコリー・プライス副社長はローリングストーン誌に宛てたメールの中で、同社のトラフィックはNo Nut Novemberの影響をほとんど受けていないと述べた。ローリングストーン誌が取材したアダルト業界のパフォーマーたちも、今月に入ってアクセスが劇的に減ったと言う者はほとんどいなかった。Pornhubの年間トラフィック数が100億台であることを考えると、ポルノが男性の精力を奪っているという陰謀が実在するならば、かなりいい成果をあげていることになるだろう。だがカルヴァート氏は、チャレンジの参加者や、途中で挫折した人々に労いの言葉をかける。「私も個人的にNo Nut Novemberはばかばかしいと思います」と同氏。「1カ月間マスターベーションをしなかったからといって、いい男、強い男になれるわけではないんですから」


Translated by Akiko Kato

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