『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』こだわりの音楽制作秘話

11月29日より日本公開される映画『ドクター・スリープ』

映画『シャイニング』の続編であるスティーヴン・キング原作の映画『ドクター・スリープ』が11月29日より日本公開される。本作の音楽を担当したザ・ニュートン・ブラザーズがローリングストーン誌に制作裏話を語ってくれた。

ザ・ニュートン・ブラザーズのアンディとテイラー・ニュートンは『ドクター・スリープ』の音楽を担当するに当たり、相当に神経質になったと言う。この作品は天才作家スティーヴン・キングと『シャイニング』の監督スタンリー・キューブリックを融合させているためだ。そんな神経質な彼らに、予想外の安らぎを与えたのがキャストの一人、いや、一匹の猫だった。

「この映画の作業をしていた18ヵ月間というもの、我々はかなり集中して、真剣にやっていた。ただ、ボンカーズがあまりにも落ち着いていたのがツボで、互いに顔を見合わせて笑っていたよ」と、アンディがローリングストーン誌に教えてくれた。このボンカーズとは、主人公ダニー・トランスの相棒猫アジーのことである。「こいつがとにかく可笑しくてね。誰かがストレスで参っていると、誰ともなしに『じゃあ、猫でも見てろ。あの猫は最高にリラックスしているし、お前もリラックスできるぜ』と言っていたんだよ」と。

2013年に発表された『シャイニング』の続編小説の映画版が公開されたばかりだが、この中のダニー・トランスは大人になっていて、オーバールックホテルの記憶に苛まれている。ダニーの父ジャック・トランスが正気を失って、家族全員を殺害しそうになったあのホテルだ。

1977年の小説『シャイニング』ではトランス家の背景が描かれていて、ジャックはアルコール依存症で苦しんいる。一方、『ドクター・スリープ』ではダニーが父と同じアルコール依存症に苦しみ、これを克服しようとする過程で、呪われたトランス家のさらなる背景が語られることになる。また、若い頃のダニーは吸血鬼のようなモンスター集団トゥルー・ノットと戦う。このモンスターは特殊能力を持った子供が餌なのだ。

映画『ドクター・スリープ』はマイク・フラナガン監督作品で(Netflixドラマシリーズ『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』)、キングの小説を完璧に再現しつつ、(キングがひどく嫌ったことで有名な)キューブリックによる映画版の要素もしっかりと入れ込んでいる。そして、キューブリック的要素は映画音楽にも入っているとニュートン・ブラザーズは言う。「マイクが作品の隅々まで広げてくれた結合組織をしっかりとフォローしたかった。そこで、『シャイニング』にどっぷりと浸かって、そこにある取り憑かれたような雰囲気の音符を集めた。前作と今作をつなげながら、まったく別の作品を作り上げることは、本当に困難な作業だったよ」と、テイラーが説明した。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE