女性を支配し罰する「処女検査」の恐ろしい実態

自分の娘の処女膜が無傷か医師に尋ねたことを暴露して、大々的にバッシングを受けているT.I. (Photo by John Amis/AP/Shutterstock)

先日、ラッパーのT.I.に世界が驚愕した。18歳の娘デイジャが定期婦人科検診を受けた際、医師に「処女膜が無傷かどうか確かめさせていた」ことを暴露したのだ。

「呼ばれて行って座って待っていると、ドクターが出てきて話し出した。ドクターはさすがプロだったね」と、39歳のラッパーはポッドキャスト『Ladies Like Us』で語った。「ドクターが言うんだ、『あの、お父さん、情報共有のために必要なんです』――それで俺は、『デイジャ、ドクターがこの書類にサインしてほしいそうだ。そうすれば情報を共有できる。父さんに知られたくないことなんてないだろ?  ほらね、ドクター?  何も問題はありませんよ』」

T.I.はさらに、セックス以外でも処女膜が破れる場合もあるが――器械体操や乗馬など――自分はそれを承知で検査を依頼したことを認めた。「俺はこう言ったんだ、『いいかいドクター、彼女は乗馬もやらないし、自転車にも乗らない。スポーツは全くしていない。とにかく頼むから処女膜を調べてくれ。そして早いとこ結果を教えてくれ』」 。15歳の息子にもそのような措置を取るかと尋ねられるとT.I.はノーと答え、実際のところ息子が性欲旺盛なのはよく知っているし、それはそれで構わない、と述べた。

T.I.の発言は、インターネット上で人々の怒りを買うための模範解答のようだった。そして実際に人々の怒りを買った。18歳の娘に――法律上は成人だ――処女膜検査を無理やり受けさせるのはプライバシーの侵害も甚だしいと大勢が指摘した。一方で、T.I.のダブルスタンダードに注目し、娘がセックスしていないかどうかに関しては口うるさいくせに、弟に対しては性に積極的なことを称賛している点をつつく人々もいた。

確かにT.I.の発言は確実に怒りを誘う一方、さらに穏やかならぬ現実も明らかになった。処女検査は世界中に普及していて、歴史的にはこれを口実に、若い女性が罰せられ、拷問され、しまいには殺されもしてきたのだ。

通常処女検査では、医師が2本の指を女性の膣に挿入し、処女膜が無傷かどうか内診によってチェックする。T.I.本人も指摘しているように、処女膜が無傷だからと言って必ずしも処女だとは限らないが、インドやトルコ、エジプト、南アフリカなど世界の様々な地域ではそのように捉えられている。多くの場合、女性が結婚に適しているかどうかを判断する際に検査が行われるが、他の目的でも実施される。例えばインドネシアでは、女性の警察官願者の適性を判断するために行われている。

Translated by Akiko Kato

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