鮎川誠がシナロケ新作でカバーにこだわった理由「ロケッツの真ん中を貫くロック原体験」

「カバーというのは俺たちのテーマ」

渋いと言えば、アニマルズやニーナ・シモンもカバーしたスクリーミング・ジェイ・ホーキンスのブルース・ロックの名曲のカバー「I Put A Spell On You」や、更に渋いのがロックンロールの65年の歌姫だったバーバラ・ルイスのヒット曲「Baby I’m Yours」、そして更にロックのルーツを遡ったルイジアナのザディコのロッキン・シドニーの「You Ain’t Nothin’ But Fine」、シナロケの『#1』でも取り上げていたラスティ・ヨークの59年のロカビリー・ヒットの「SUGAREE」、原曲はヘンリー・マンシーニが書いた59年のTV番組のテーマ曲をロックでやってしまったミック・グリーン率いるパイレーツのカバーの「Peter Gunn」、シーナの声に意外にも合っているオノ・ヨーコの「KISS KISS KISS」と、シナロケがロックンロールのルーツを常にリスペクトし、それを自らの血と肉として受け継いで来たその心意気と情熱がこのアルバムから痛いほどに伝わってくる。鮎川誠はこう熱く語る。


Courtesy of JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント


Courtesy of JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

「カバーというのは俺たちのテーマやったんよね。1stアルバムからチャック・ベリーの“カモン”を入れたし、2枚目の『真空パック』ではキンクス、3枚目の『チャンネル・グー』にはストーンズもカバーした“スージーQ”を入れた。レコード会社の人に、せっかくオリジナルが作れるんだから、カバーは入れる必要はない、と言われたこともあるけど、俺たちははっきりイギリスの音楽とそれをやってる人たちが影響を受けたシカゴ・ブルースとか、メンフィスのソウルとか、そういうもんがあっての日本のロックや、というこだわりがあるんよ。そういうのがゼロの日本のロックなんか、興味もないんよ。僕らが学生の時に海外のロックを聴くことが世の中を見ることやったり、人と出会うことやったり、同じ音楽を好きな者同士が信号を発して出会いながら、ロックを楽しんできた、そういうものが絶対にロケッツの真ん中を貫いているんよ」

ご存知のようにシーナ&ロケッツのボーカリスト、シーナは2015年2月14日にガンのため突然天に旅立ってしまった。だが、鮎川誠はバンド名を変えることもなく、今もベースの奈良敏博とドラムの川嶋一秀と共に精力的なライブ活動を続け、愛娘のLUCYをボーカルに加えてシーナ&ロケッツ with LUCY名義でライブをやり続けている。鮎川誠は語る。
「シーナがいなくなって3人でやり始めたんやけど、以前は最初に俺たち3人がステージに出て行って数曲やって会場を温めてからシーナを呼び込むというスタイルでやってたけど、今では先にシーナがステージに行っていて、俺たちがシーナに導かれてステージに出ていってると感じるんよ。俺も70歳を超えたけど、ガキみたいなスケジュールでツアーをやってても、自分の中ではそのために生きとるという感じがするんよね。それ以外に生き延びて何すんの、音楽をやれるうちに1曲でも多く歌い演奏したいと思うのよ。シーナが憎きガンのためにあっという間にこの世を去ってしまって、ほんとに”今日を生きよう“ということ、それをシーナに教えられた。今日全部やりたいことを今日全部出し切るという心境で今はツアーをやってて、それが物凄い自分の励みやし、次のステージがあるということは、いかなる健康法よりも自分をまっすぐ立たせてくれる。次のステージを待っててくれるファンがいることで、もうちょっと頑張れると思う」
素晴らしい。ロックで育ち、ロックを生き、ロックで死ぬ、という覚悟を語る鮎川誠の言葉に、僕はリアル・ロックンローラーとしての鮎川誠の生きざまを見た。

このカバー・アルバムについてもうひとつ付け加えて語っておきたいのは、2014年4月10日の最後に録音された7曲目の「レモンティー」が、シーナがスタジオで歌い録音した生涯最後のレコーディング楽曲であるということだ。過去のアルバムやステージで何度も歌われてきたこの曲だが、この最後となる録音を聴くとシ―ナが僕たちに投げかけていた熱いエモーションと愛の波動を再認識し、涙無くしては聴けない……。

鮎川誠が歌い演奏し続ける限り、シーナ&ロケッツは決して終わらない。この溢れんばかりにロックへの愛が詰まったアルバムを聴く人たちが、これらのロックンロールから「今日を生きる」力を受け取ってくれることを願ってやまない。



<INFORMATION>

シーナ&ロケッツ
ニューアルバム『LIVE FOR TODAY!』
2020年2月14日リリース
予約URL:https://jvcmusic.lnk.to/LIVEFORTODAY


<通常盤>
「LIVE FOR TODAY!-SHEENA LAST RECORDING & UNISSUED TRACKS- 」
VICL-65305 / 3000円 + 税
<収録内容> (全18曲収録/約64分)
1. Loudmouth
2. Baby I’m Yours
3. I Put A Spell On You
4. 雨
5. 今日を生きよう
6. You Ain’t Nothin’ But Fine
7. レモンティー
8. SUGAREE
9. What Becomes Of The Broken Hearted
10. Peter Gunn
11. KISS KISS KISS
12. 朝一番列車のブルース
13. ボントンルーレ
14. You Really Got Me
15. JOHNNY B. GOODE
16. Heart Of Stone
17. WILD THING
18. MY BONNIE


<豪華版-完全受注生産限定BOX>
「LOVE BOX -42nd Anniversary Kollection-」
VIZL-1695 / 21000円 + 税
<収録内容>
・CD:「LIVE FOR TODAY!-SHEENA LAST RECORDING & UNISSUED TRACKS-」(通常盤同内容)


・2LP:「ROKKET RIDE 」
 「ROKKET RIDE」全12曲初完全アナログ化+「LIVE FOR TODAY!」より4曲厳選収録 (合計16曲収録)
1-A (Side-1)
1.ROKKET RIDE
2.Ride the Lighting
3.太陽のバカンス
4.Baby Love

1-B (Side-2)
5.ROCK FOX
6.電撃BOP
7.Madness City

2-A (Side-3)
8.I’m So Glad
9.夢にしか出てこない街
10.素敵な仲間
11.風を味方に

2-B (Side-4)
12.ロックンロールの夜
13. Loudmouth
14. Baby I’m Yours
15. I Put Spell On You
16. レモンティー


・7inch アナログ:「雨 / 今日を生きよう」


・2DVD:「VIDEO KOLLECTION 1979-2019」(約180分収録)
Disc-1
1. シュガーリー (1979 from TV TNC "L-mortion rag")
2. 涙のハイウェイ (1979 from TV TNC "L-mortion rag")
3. ユーメイドリーム (1980.05.18 Live at 日本電子工学院ホール from TV TVK "Fighting 80’s")
4. レイジークレイジーブルース (1980.05.18 Live at 日本電子工学院ホール from TV TVK "Fighting 80’s")
5. オマエガホシイ (1980.05.18 Live at 日本電子工学院ホール from TV TVK "Fighting 80’s")
6. ベイビーメイビー (1980 MV)
7. 浮かびのビーチガール (1980 MV)
8. キスミークイック (1980 MV)
9. プロポーズ (1982.02.04 Live at 日本電子工学院ホール from TV TVK "Fighting 80’s")
10. レモンティー (1982.02.04 Live at 日本電子工学院ホール from TV TVK "Fighting 80’s")
11. アイラブユー (1982.02.04 Live at 日本電子工学院ホール from TV TVK "Fighting 80’s")
12. ホラ吹きイナズマ (1984 MV)
13. ロックイズオールライト (1984 MV)
14. スイートインスピレーション (1984 MV)
15. 今夜はたっぷり (1985 MV)
16. エービーシー(1986 MV)
17. キャプテンギターアンドベイビーロック (1986 Live at SHIBUYA LIVE INN )
18. レモンティー (1986 Live at SHIBUYA LIVE INN )
19. ユーメイドリーム (1986 Live at SHIBUYA LIVE INN )
20. どうしても逢いたい (1987 MV)
21. ハッピーハウス (1988 MV)
22. パーマネントハネムーン (1989 MV)

Disc-2
23. (ハ! ハ! ハ!) ハードドラッグ (1992 MV)
24. ビーバップアルーラ (1993 MV)
25. ロックの好きなベイビー抱いて (1994 MV)
26. レイジークレイジーブルース (1997.05.19 Live at SHIMOKITAZAWA SHELTER)
27. インターネットキッス (1997 MV)
28.「@HEART」 ライブ リハーサル&バックステージ(1997.09.19 Live at LIQUIDROOM)
29. オールズモービルロック (1997.09.19 Live at LIQUIDROOM)
30. キッチンパニック (1997.09.19 Live at LIQUIDROOM)
31. ジャングルオブラブ (2000 MV)
32. 「ROCK THE ROCK」シューティング (2000.05.13)
33. ラフネックブルース (2003.11.23 Live at SHIBUYA AX)
34. ハートに火をつけて (2003.11.23 Live at SHIBUYA AX)
35. スティフリップス (2003 MV)
36. エレクトロケッツ (2004 Trailer)
37. ジャパニック (2008 MV)
38. ライドザライトニング (2014 MV)
39. 太陽のバカンス (2014.08.17 Live at T-Jam 2014)
40. ピンナップベイビーブルース (2014.08.17 Live at T-Jam 2014)
41. ユーメイドリーム (2014.10.23 Live at SHIBUYA O-EAST)
42. ビールスカプセル (2019.09.15 Live at 高塔山ロックフェス 2019)
43. アイラブユー (2019.09.15 Live at 高塔山ロックフェス 2019)


シーナ&ロケッツ 42回目のバースディLIVE開催!11月23日(土祝)下北沢GARDEN
開場:18:00 開演19:00
Adv. 5000円 / Door. 5500円  (+D)
出演:シーナ&ロケッツ — 鮎川誠/Vo,G、奈良敏博/B、川嶋一秀/Dr
スペシャルゲスト:LUCY MIRROR

シーナ&ロケッツ 鮎川誠71th ROCK OF AGESツアー
11月23日(土) シーナ&ロケッツ42回目のバースディライブ/下北沢GARDEN
11月29日(金)札幌 SUSUKINO 810
11月30日(土)札幌 SUSUKINO 810 ※ツアー・ファイナル
12月31日(大晦日)47TH NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL

公演詳細&チケット発売:http://sheena.cc/ticket
シーナ&ロケッツ公式サイト:http://www.rokkets.com/

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