元米議員のヌード写真流出騒動に見るメディアの罪

暴露された政治家のプライベート

アメリカ議会の期待の星、左派の秘蔵っ子ケイティ・ヒル氏(32歳)は先日、アメリカ下院議員職からの辞任を強いられた。女性の選挙活動スタッフと「親密にしている写真」を右派のウェブサイトRedStateが入手し、公表したためだ。写真の出どころは定かではないが、ヒル本人は別れた夫ケニー・ヘスレップ氏がRedStateに提供したのだと述べている。元夫はソーシャルメディアで、結婚生活について公然とあれこれ言い回っていた(ヘスレップ氏の家族はハッキングされたのだと主張している。ヘスレップ氏は騒動が持ち上がって以降、公式声明を発表していない)。RedStateによれば、ヘスレップ氏、ヒル氏、問題のスタッフは、同意の元で三者間の関係を続けていたが、今年初めにヒル氏が終止符を打ったという。記事はさらに、ヒル氏が彼女の上司と性的関係にあったと糾弾しているが、本人はこれを否認している。

政治家がスタッフと関係を持ったと言う疑惑自体、新聞ネタにされても仕方がない。また、ヒル氏本人も後に辞任スピーチで認めているように、極めて重大な倫理違反を示してもいる。だがこのことと、RedStateの記事がイデオロギー的な理由によるものだったのか(この記事を書いた記者は、以前からヒル氏の政敵を宣伝・支持していた)、ヒルのプライベートな写真の公開が適切だったか、という問題とは別物だ。後者に関しては特にそうだ。ヒル氏も声明の中で仄めかしているように、「私を辱めてやろうと固く決心した攻撃的な夫が」同意なく勝手に写真を公開し、出版社に送り付けたのだから。

こうした流れは、リベンジポルノの筋書にそっくりそのまま当てはまる。別れた男性パートナーが(同意なきポルノの被害者の大多数は女性だ)元カノを辱めようとして、ヌード写真や性的な写真を公開し、復讐を果たす。ヒル氏も当初は、こうした辱めや中傷には屈しないと公言していた。「私や私の周りの人々を破滅させようとするこうした組織的な企みは卑劣ですし、我々が屈することはありません」と彼女は言った。

残念なことに、ヒル氏潰しの企みは始まったばかりだった。10月24日、今度はデイリー・メール紙がヒル氏と女性スタッフの親し気な写真を、スタッフの実名までつけて公表した。写真の中にはヒル氏が裸でボングを吸っているものもあったため、共和党の中傷攻撃に格好の口実を与えてしまった。この時点で、ヒル氏の評判は相当なダメージを負っていた。下院倫理委員会がヒル氏の行動を調査すると発表したのを受け、ヒル氏は10月27日に議員を辞職した。怒りと涙が滲んだスピーチは、瞬く間にネット上で拡散した。「私たちのジェンダーを標的にした嫉妬で怒りにかられた男性からの報復、ネット上での搾取や性的辱め、そして権力を持つ女性を恐れ、忌み嫌う社会の大多数。これらが一体となって、若い女性たちに『ここはお前たちの来る場所じゃない』と言って、彼女たちを権力から追いやろうとしているのです」と彼女はスピーチの中で述べた。

Translated by Akiko Kato

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