「Yamaha Acoustic Mind 2019」レポート、アコースティックの可能性を広げた一夜

その後は大石昌良がステージに残る。「大石昌良の弾き語りエンターテイメントの幕開けでーす!」の一言と共に一曲目の「ピエロ」で演奏がスタート。大石1人のステージでバンドメンバーがいる体でトランペットの音色を再現したり、スキャットを披露したりと、正にエンターテインメントで会場を楽しませる。ギタープレイも、スラップ奏法などアコギでできるテクニックを総動員して、1本のギターからベース、ドラム、ギター全てのサウンドとリズムを鳴らしてみせる1人アンサンブルのテクニックの高さが際立った。「眼鏡ダーリン」ではメガネを掛けた客の中から1人をステージに呼び、掛け合いをしながらメガネを掛けてもらうというお馴染みの場面で笑いも誘うなど盛り上がり続け、手拍子が止まないパフォーマンスとなった。歌声にエフェクトを掛けながら、アコースティックギターをかき鳴らす不思議なマッチ感の楽曲「ボーダーライン」や、亡き祖父との思い出に心を込めて歌ったバラード「またこいよ」など表現の魅力に富んだパフォーマンスは、正にアコースティックギターでのエンターテインメントと呼ぶにふさわしい内容だった。

アンコールでは、ISEKIと大石の2人が先に登場。「カバー曲やります。皆さんもご存知の曲かと思います」と話すと、槇原敬之の「どんなときも。」を披露。本公演で数々のアコースティック精神とプレイを耳にしてきたが、その中でも弾き語りとは、アコースティックギターという楽器で表現できる最も大きな魅力の一つではないか? と痛感してしまうような演奏で、会場からは惜しみない拍手が送られた。そして、磯貝とAnly、更にスペシャルゲストとして事前に公募で集まった13人の客がステージに登場。中には12歳のギタリストまでおり、老若男女問わずのメンバーで、大石昌良作詞・作曲のアニメ主題歌「ようこそジャパリパークへ」を、一緒に演奏。会場も皆立ち上がり、大盛り上がりのフィナーレを飾った。



今回の公演では、実際にアコースティックギターに触れ、学び、それぞれ演奏スタイルが異なる4人のアーティストのアコースティックマインドを聴くことができるという、正に豪華なアコースティックの祭典となった。どれほど音楽技術や機材のデジタル化が進んできていても、アコースティックというサウンドに魅了される人々が絶えない理由が垣間見える、そんな貴重なイベントであった。



<イベント情報>

「Yamaha Acoustic Mind 2019 ~Circuit~」

2019年11月3日(日・祝日)東京・品川インターシティホール
出演アーティスト:ISEKI、大石昌良、磯貝サイモン
ゲストアーティスト:Anly
主催:株式会社ヤマハミュージックジャパン

=セットリスト=
1. Workman(出演者全員)
2. プロミス(ISEKI)
ー(磯貝サイモン)ー
3. ハートマーク
4. CRAZY FOR YOU
5. 暗闇にセイハロー(w ISEKI)
6. ようこそジャパリパークへ(1コーラスのみ、w ISEKI)
ーAnlyー
7.この闇を照らす光のむこうに
8. エトランゼ
9. Venus
ーセッションー
10. Parade(w ISEKI・磯貝)
12. LIFE(全員)
ー大石昌良ー
13. ピエロ
14. パラレルワールド
15. ボーダーライン
16. 眼鏡ダーリン
17. トライアングル
18. またこいよ

EN1. どんなときも。(大石・ISEKI)
EN2.ようこそジャパリパークへ(出演者全員)

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