miletが語る「孤独」との向き合い方、マンウィズとの共演、収穫に満ちた2019年 

―3曲目の「Fine Line」は、躍動感のある弦アレンジが印象的です。

milet:3、4曲目は去年作ったもので、この時のセッションは遊んでいるような感覚でした。デビューも決まってなかったし自由に作ってましたね。で、「Waterfall」(1st EP『inside you』収録)を作ったあと、「暗い曲ができたから、そろそろ明るい曲も作ろう」ということで出来上がったのが「Fine Line」です。ただ、“Fine”には元気という意味もあるけど、ここでの“Fine Line”は細い線という意味。その上を綱渡りみたいに渡って生きていく、みたいなニュアンスですね。

―この「Fine Line」や「Drown」もそうですけど、「前進する」「戦う」っていうのは、miletさんの歌詞で毎回出てくるテーマですね。

milet:最近はそうじゃないって思い始めているけど……それまでの私は、一人で背負ってるものがすごく大きかった。それは音楽だけでなく、自分自身のこと、家族とのことだったり。当時もまったく一人じゃなかったけど、あまりに余裕がなさすぎて、周囲に誰もいないような気がしていたんです。そのことによる警戒心とか緊張感が歌に出てたのかなって。

―なるほど。

milet:当時の歌詞に出てくる「一人」は、周りの見えてない孤独感だったと思うけど、今歌ってる「一人」っていうのは相手を見てるなって思いますね。「You & I」も相手のことを見ているし、自分の見方が変わったなっていうのはすごく思う。

―「一人」もよく出てきますもんね。

milet:そうなんですよ。「航海前夜」(2nd EP『Wonderland』収録)の頃は、孤独でも進んでいくという感じで、それこそ周りを見れてなかったと思う。それに対して、「Drown」も一人の歌だけど、ここには誰かを背負って生きていくっていうメッセージがあって。誰かと一心同体みたいな「一人」で、周りを見てる「一人」だと思います。

―最後の4曲目「Imaginary Love」は、ストレートなラブソングというよりも……。

milet:当時、妄想恋愛が私のなかで流行ってて。寝る前にいつもしてたんです。その勢いのままセッションに向かって、ノリで生まれた曲だけど、すごくお気に入りなんですよ。あまりのクセの強さにキープが続いてたんですけど、ついに出せました。ライブで歌いたい!

―妄想の中身が気になりますが。

milet:恋愛の話とはちょっと違うけど、好みなのは獣のフェイスで人間の体みたいなのがたまらなく好きなんですね。これはMAN WITH A MISSIONのみなさんと出会う前からもずっとで、もはや趣味に近いですね!(笑)。

―スリップノットの見た目が好きなのと一緒で、ファンタジー趣味なんですね(笑)。でもまさか、miletさんとマンウィズと共演するとは。

milet:私もびっくりしました!


Photo by Daisuke Sakai

―アーティスト写真でも、マンウィズの5人に真顔のmiletさんが囲まれていて。いったい何が起きてるんだって。

milet:(笑)。でも会ったら怖かったですよ。やっぱり獣でした。

―理想のシチュエーションじゃないですか!

milet:思い出すとめちゃくちゃゾクゾクしますね。もちろん嬉しかったです。いろんな意味で本当によかった。私の好みが現実になりました!

―共演までの経緯も気になります

milet:それが、誰か大人がやれって感じじゃないんです。レコーディング現場に行ったら、Kamikaze Boyさんが「『inside you』の時からずっと聴いてました!」と言ってくださって。それで今回コラボした「Reiwa」の制作中に、私にオファーをしてくださったと。そんなことあるんだなって。本当に嬉しかったです。


MAN WITH A MISSIONのニューシングル『Dark Crow』、3曲目の「Reiwa」にmiletがゲストボーカルで参加

―レコーディングのほうはどうでした?

milet:すごく楽しかったです。ただ、メロディは数本だけ録ってすぐ終わったんですけど、ハーモニーが難しくて。私もハモりを歌うのは好きなんですけど、彼らのハモが独特なのと、生音のバンドサウンドで歌うのは「inside you」以来そんなになかったから、なかなか苦戦しましたね。でも、すでに本人たちの声も入った状態でのレコーディングで臨場感もあったし、マンウィズさんの仲間になったような気持ちで歌えました。「生音には生音に対抗できる声で歌わないと」って意識が働いたぶん、いつもと違う歌声になっていると思います。

―「Reiwa」という曲に対する印象は?

milet:しっかり地に足がついた感じで、バラードみたいな広がりと疾走感を兼ね備えていますよね。“令和”というタイトルだしどんな曲だろうと思ったけど、どこでもドアを開いて真っ白な世界が広がり、光がパァーって差し込むなか、自分も足を踏み入れていく瞬間を切り取ったような感じ。世界が広がるような爽快感のある曲だなと。明るいんだけど、ただ明るいだけじゃないところは私と似通ったものを感じました(笑)。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE