ボブ・ディランとトム・ペティが1986年に共演した「レニー・ブルース」を回想

(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

ディランは、早くに他界した偉大なコメディアンに捧げた1981年の「レニー・ブルース」を最近セットリストに戻している。

ボブ・ディランは、今月初めにドラマーのマット・チェンバーレンとギタリストのボブ・ブリットが加わったのを契機に、ライブ内容を大きく変えた。今回バンドを離れたのがドラマーのジョージ・リサイルで、彼は2001年にバンド加入以来、ライブでもスタジオでもコンスタントにディランのバックで叩いていた。また、リサイルほど多くのコンサートでディランのバックを務めたドラマーは未だかつていない。一方、新たに加わったチェンバレンはトーリ・エイモス、パール・ジャム、バラエティ番組「サタデーナイト・ライブ」での演奏で知られているが、これまでディランと共演したことは一度もなかった。しかし、新加入ギタリストのブリットは1997年の『タイム・アウト・オブ・マインド』に参加している。

セットリストに加えられた変更の一つ一つは小さなものなのだが、全体的に以前のセットリストとは大きく趣の異なるもとになった。今後はオープニング曲が「シングス・ハヴ・チェンジド」と「ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング」から選択される。 また、定番曲として「ノット・ダーク・イェット」と「レニー・ブルース」が加わった。「レニー・ブルース」は1981年のアルバム『ショット・オブ・ラブ』に収録されており、1980年代のライブでは定番曲として披露されていた。今回は1986年の共同ヘッドライナー・ツアー中に、トム・ウェイツ&ザ・ハートブレーカズと一緒に演奏した同曲の動画を紹介する。

「ジョージ・ジャクソン」、「ハリケーン」、「ジョーイー」と同様に、これもディランが敬愛した男に対するストレートな賛辞を表した曲だ。「60年代初頭、1963年頃に、レニー・ブルースのパフォーマンスを見た。彼が法的な問題に巻き込まれる前のことだった」と、1986年にディランは語っている。「彼は、その業績も、そのとても大きい影響力も、一度たりとも正当に評価されたことのない人だ。リチャード・プライヤーやエディ・マーフィといった連中はレニー・ブルースに負うところがとても大きい。でも、早くに他界した他のコメディアンについてはみんな話をするのに、レニー・ブルースについて語る人はほとんどいないんだ」と。

今月になって復活させるまで、ディランはずっとこの曲を演奏していなかった。最後にライブで披露したのは2008年のことだったが、今後6週間続くこのツアーでこの曲はずっと披露されそうな気配だ。ちなみにこのツアーは12月8日にワシントンDCのアンセムで終幕する。その後、ディランは2020年4月に始まるジャパン・ツアーまで休暇に入る予定だ。このジャパン・ツアーは東京で10公演、大阪で3公演を予定している。この時期にディランは79歳の誕生日を迎えるのだが、この調子だと80代も元気にツアーを続けそうな勢いだ。早くに他界したレニー・ブルースとは違い、ディランは長寿に恵まれたということだろう。

Translated by Miki Nakayama

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