TikTokガールたちが元カレのウザい説教に合わせてダンスする理由

TikTok上のムーブメントとの出会い

数日前、テンリーがSnapchatを見ていると、1年前の出来事を振り返る動画が流れた。まだ付き合っていた頃、元カレの車の中で口論になったとき、彼女がこっそり録音した会話だった。彼は彼女のソーシャルメディアにTシャツとレギンス姿で登校する写真が上がっているのを見て、本人曰く露出しすぎだと言って彼女を責め立てた。

「最初の何回かは聞くに堪えませんでした」と彼女は言う。だが、ほんの数カ月前までは元カレにびくびくしていたのに、今では「自分のことも彼のことも笑い飛ばせるようになった」ことに、自分でも驚いた。




@tenleyearles動画内テキスト
レギンスで学校に行ったことで、私に説教する元カレに合わせて踊ってみた part 1


この時ちょうどテンリーはインターネット上で話題になっていた、18歳のイザベラが投稿したTikTokを見たばかりだった。動画の中でイザベラは、涙ながらに浮気を謝罪する元カレの留守電メッセージにあわせた創作ダンスを踊っていた。テンリーはこれを見て大笑いし、「すごく勇気づけられた」と言う。イザベラのTikTokの成功に触発され、テンリーも元カレの罵声に合わせて創作ダンスを踊り、TikTokに投稿した。その後も一連の動画をアップして、ことの背景や当時の関係を詳しく説明した。

動画がforyou(おすすめ)ページに載るとあっという間に拡散され、この記事を書いている時点で68万8000件以上のいいねが寄せられている。TwitterやInstagramでも、有害な男性像の最たる例として、また10代の女の子たちのクリエイティヴさと回復力の高さの現れとして、大勢の人々にシェアされた。だが、こうした流れは特にTikTok上で勢いを増し、若い女の子たちが元カレの暴力的発言に合わせて創作ダンスを踊るというブームが生まれた。「男どもは心底イカれてるけど、この女の子たちはマジでイカしてる」と、映画評論家のK・オースティン・コリンズ氏もTiwtterに投稿した。

ブームの生みの親イザベラはローリングストーン誌の取材に対し、彼女も元カレと似たような有害な交際をしていて、それがTikTokのヒントになったと語った。別れてから1年ほど経つ彼とは約6カ月間、くっついたり離れたりを繰り返した。「彼は怒りっぽくて、時々人に八つ当たりしました。そんなにしょっちゅうというわけではなかったけど、しばらくすると、私に対してもそういう行動を取るようになりました」と彼女は言う。「私が長い間彼に返事をしなかったり、別のことをしていたりすると、彼はイライラしだすんです」。 昨年彼は浮気していたことを告白し、彼女は彼と別れた。TikTokで流れる留守電からも明らかなように、彼はこの展開を少しも納得していなかったが、その時点で「信頼はなくなっていました」と彼女。「やり直すなんて無理でした」




@Trapmoneybella動画内テキスト
浮気した元カレの留守電に合わせて踊ってみた 1日目


先週、イザベラは携帯の容量を増やすために古い留守電メッセージやメールを消去していたところ、元カレのメッセージを偶然発掘した。テンリーの場合と同じく彼女も、別れた後の自分の視野の広がりに驚いた。「当時は(留守電を聞くのが)本当に嫌だった。でもこの時は、ただもう笑っちゃいました」と彼女は言う。以来、彼女のTikTokは38万8000件のいいねを獲得。フォロワー数も1万から3万に跳ね上がった。同じように元カレの留守電に合わせて踊る10~15人のティーンの子たちからもタグ付けされた。そのどれもが、笑えると同時に痛々しい。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE