Twitterが政治広告の禁止を発表、Facebookの方針に対し挑発

2019年6月7日、エマニュエル・マクロン仏大統領との会談後、パリのエリゼ宮をあとにするTwitterのジャック・ドーシーCEO Francois Mori/AP/Shutterstock

米現地時間10月30日、Twitterのジャック・ドーシーCEOは、同社が運営するSNSサービスが政治広告の掲載をやめる考えを明らかにした。「表現の自由云々ではない。政治的メッセージを届けるために金銭を払うことに問題がある」。

2020年の米大統領選挙を前に、SNS大手Twitterのこうした方針は、大きな転換を示している。「我々は、グローバルレベルで政治広告の掲載をやめることにしました」とドーシー氏はTwitterに投稿した。「政治的なメッセージは金銭ではなく、しかるべき方法で人々に届くべきものだと信じています」

ドーシー氏は、自らの発言の論拠を複数のツイートに分けて細かく解説した。「政治的なメッセージは、誰かがあるアカウントをフォロー、またはリツイートしようと判断した時点でリーチという形で届きます」とドーシーは綴った。「こうしたリーチを金銭で得ようとすることは、人々の判断を損なうものであり、発注者が狙った対象に最適な方法で政治的なメッセージが届いてしまいます。我々は、人々の判断に金銭が関わっていてはいけないと考えています。ビジネスの場合、インターネット広告が広告主にとって非常にパワフルかつ効果的であるのに対し、その影響力は政治において多大なるリスクをもたらします。大勢の人間の生活がかかっている投票結果を左右するのに利用されかねません」

Twitterの判断は、SNSがどのように政治広告を制限するべきか、という問題にますます注目が集まるなかもたらされた。10月23日にワシントンの連邦議会で行われたデジタル通貨Libraに関する公聴会で証人となったFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOがFacebookの方針を説明するのに悪戦苦闘すると、政治広告の内容について事実確認をしない同社の考えが浮かび上がってきた。Facebookは偽りの情報を含む政治広告を取り下げるのか? というアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(ニューヨーク州選出・民主党)の質問に対し、ザッカーバーグ氏はこのように答えた。「民主主義ではほとんどの場合、自分が投票する、あるいはしないかもしれない政治家がどんな人間であるかを理解するためにも、政治家の発言や個性を知り、投票者自らが判断するべきだと思います」

ドーシー氏は、Twitterの今回の判断を語るなかでザッカーバーグ氏にジャブを打った。「『誰かが我々のシステムをおもちゃにして誤った情報を垂れ流すのを食い止めるため、Facebookは最大限の努力をしています。でも、強制的に政治広告を見せるため、ある人が金銭を払ってくれるなら……その人は好き勝手なことを言っても大丈夫!』というのは、とても説得力あるやり方とは言えない」とドーシー氏はウィンクしている顔文字を付けてツイートした。

ドーシー氏は、Twitterの新方針の詳細を11月15日に発表すると表明し、有権者登録を支援する広告など、一部の政治広告には例外を設けることを補足した。新方針は11月22日から実施される。

「これは表現の自由云々ではない。政治的メッセージを届けるために金銭を払うことに問題があるんだ」とドーシー氏は締めくくった。「政治的発言のリーチを増やすため金銭を払うことは、今日の民主主義インフラが対処できないような重大なインパクトを与えかねない。こうした事態に取り組むため、今回の後退は意義あるものなんだ」

Translated by Shoko Natori

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