10億回再生動画「ボヘミアン・ラプソディ」から考える、YouTubeと音楽の関係性

「ボヘミアン・ラプソディ」に見る、MVのあり方

私はレコードやCDで音楽を再生することが多いのですが、気楽にYouTubeで好きなアーティストを検索して、再生ボタンを押すこともやはり多いです。ここで目につくのが、比較的昔の音源が非常に悪い音質でアップされていて、数百万、数千万再生とかをマークしているケース。これらの多くは10年前とかにアップロードされたものです。画質が大抵360pとかだったりして、音質も同様に現代の感覚からすると少々パンチが効いていません。

例として、映画の公開で話題となったクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」。この楽曲は10億回再生を突破した超巨大な動画ですが、クオリティを最高まで上げても360pです。アーティストはより良い音質でリスナーに届けたいハズですが、何故こういった状況が生じるのでしょうか。


Queen – Bohemian Rhapsody (Official Video Remastered)



YouTubeの仕様として一度アップした動画を別の内容に差し替えることは禁止されています。動画はそのままに、より音質の良い音源に差し替えることができないわけです。多くはクオリティが現代のスタンダードに沿ったコンテンツをアップし直すよりも、長年蓄積された再生数やコメント数による見栄えを優先してしまう。新規リスナーの方々が優れた楽曲を、劣化した音質で味わっているのを考えますと、いち音楽ファンとしては複雑な気持ちになってしまいます。

巨大なその経済力によってマスのリスニング体験までを左右する存在となったインターネット。品揃えと手軽さはかつてないとものとなっていますが、圧縮された状態のアートが衆目に触れ続けるのは、アーティストにとっても不本意かもしれません。


みのミュージック(Courtesy of  UUUM)

Edited by Aiko Iijima



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