こぶしファクトリーが切り開く「道」と音楽への飽くなき探究心

左から広瀬彩海、井上玲音(Photo by Yoko Yamashita)

こぶしファクトリーが2ndアルバム『辛夷第二幕』を発表した。前作『辛夷其ノ壱』のリリース以降、メンバー3人が脱退するという困難に直面したが、高い歌唱力を生かしたアカペラに本格的に取り組むことで評価を高め、楽曲の方向性をシフトすることで、こぶしファクトリー像を更新し続けている。

今回、リーダー広瀬彩海と井上玲音に話を聞き、こぶしファクトリーの現在地とその先についての思いを告白してもらった。ハロー!プロジェクト内でも中堅グループへと成長を遂げた彼女たちが後輩への思いを語ったとき、グループの成熟とハロー!プロジェクトの伝統を痛感することになる。

―皆さんは現在、全国ツアーの真っ最中ですが、調子はいかがですか。

井上:これまでの私たちのライブは盛り上がることが一番のポイントだったんですけど、今回は盛り上げるだけじゃなくて、“魅せるこぶしファクトリー”を大事にしていて、新曲にもカッコいい曲、魅せる曲がたくさんあるので、とても楽しいです。

広瀬:今回は今までとセットリストの組み方が全然違くて。井上玲音ちゃんが言っていたように、今まではとにかく盛り上げる、お客さんに楽しんでもらうというのが最優先だったんですけど、今回は10月2日にアルバム『辛夷第二幕』を発売したことでアルバムからの新曲もセットリストに入っているので、そういう意味ではメリハリのあるライブになってると思います。



―ひと言で「魅せる」と言ってもなかなか難しいものがありますよね。

井上:曲調も考えつつなんですけど、いつもはお客さんと目を合わせて「一緒に歌ってね!」って感じで煽るんですけど、今回はいつスクリーンに抜かれてもベストショットが映るように、特に表情を意識してます。 

広瀬:あと、今までのこぶしファクトリーは盛り上がる曲を中心にやらせていただいてきたので、お客さんに真似してもらいやすい振付がけっこう多かったんですけど、今回はがっつりダンスを踊っている曲もあるので、そういう部分では普段よりも丁寧に、みんなで呼吸をあわせて踊ることに気をつけています。

―これまでの、とにかく盛り上げるという意識に魅せるパフォーマンスが加わるとなかなか大変そうですね。

井上:そうですね。ライブの最初のほうはカッコよくできたりするんですけど、後半はライブの山を作っていくために盛り上がる曲が多くなってくるのもあって、魅せるというよりも自分自身が楽しんでずっと笑ってる状態になってることが多くて。

―「今、スクリーンに抜かれてる」ってわかるものなんですか?

広瀬:今、私たちが回ってるライブハウスにはスクリーンがないので、「いつ見られてもいいように」っていう意識なんですけど、先日、豊洲PITでやらせていただいたときはけっこう意識しましたね。リハーサルの映像を見て、「あ、ここは私が映ってるんだ」とか、ライブ中に「あ、赤いランプがついてるカメラがこっち向いてるな」とか、そういうのは気にして、そこでお客さんが「お!」って思うような表情をつくることはみんな意識してたと思います。

―でも、それって意識して急にできるものではないですよね。

広瀬:そうですね。デビュー当時は赤いランプがどうっていうこともまったくわからなくて、カメラがこっちに向いてるだけで、自分を抜いてるのか、引きでみんなを抜いてるのかっていうのもわからなかったですし、とにかくカメラを気にする余裕がありませんでした。なので、何年もパフォーマンスをしてきたことで生まれた心の余裕が大きいですね。

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