クボタカイとは何者か? 福岡の新世代ラッパーが明かすメロウな音楽観の秘密

Scramble Fes 2019に出演するクボタカイ

11月2日開催のScramble Fes 2019に出演する、クボタカイにメールインタビューを実施。福岡を拠点に活動する1999年生まれのラッパー/トラックメイカーは、どのようにして音楽に目覚め、何を考えながら制作に向かっているのか。12月4日に発売される初の全国流通作品『明星』についても一足先に尋ねながら、進境著しいニューカマーの実像に迫った。


―楽曲制作を始めてまだ1年半とのことですが、デビューするまでの経緯を教えてください。

クボタ:僕はそもそも曲を作る1年くらい前からフリースタイルバトルをやっていて。友達が作曲を始めたタイミングに便乗して作ったのが楽曲製作のきっかけですね。超初期はオーソドックスにラップをしていました。ただ自分でしっくり来てなくて、失恋のタイミングで「Nakasu night.」というメロディ混じりの曲を作ったのが、今のスタイルの原形ですね。それから何曲かYouTubeにアップしたところ反響があって、デビューに至りました。

―音楽といってもいろんなジャンルや表現手段があるなか、クボタさんがラップを選んだ理由は?

クボタ:僕は音楽の手段としてラップを選んだというよりは、「フリースタイルラップおもしろい! やってみたい!」というのがきっかけでしたね。『フリースタイルダンジョン』や『高校生RAP選手権』を見ては、お風呂で一人でラップしてました(笑)。音楽的な話をすると、ラップというリズム音楽としての聴き心地の良さ&韻を踏んで進行するという構造を、自分なりに砕いて色々混ぜて作ってます。合挽きハンバーグみたい!


2019年3月発表の2nd EP『305』は、CDが即完売となる程の人気ぶり。

―初めて自分から好きになったアーティストは誰ですか?

クボタ:コブクロですかね。小渕(健太郎)さんが僕の父と同じ高校の同じ部活だったらしくて、その影響で聴きはじめました。たまに楽屋とかお邪魔してました。確か幼稚園くらい。

―自分にとってのルーツを教えてください。

クボタ:音楽的なルーツは、まずクリープハイプですね。衝撃でした。『イノチミジカシコイセヨオトメ』から入って、気が付くとCDを揃えたり一人でライブ遠征に行ったりしてました。個人的には初期の剥き出し感と生活感が好きです。心のやわらかい時期に聴いてたので、単純な曲の良さだけじゃ無くて、様々な思い出や感情が乗っかりますね。人生のアンセムです。

―音楽以外では?

クボタ:根が超負けず嫌いなのは、部活で続けてきたバレーボールの影響ですね。全国大会にもたくさん出た強豪校で、そこで揉まれた経験はかなり影響してると思います(僕はヘタクソ)。



―今度のEP『明星』に収録された「wakakusa night.」のリリックで5lackさんに言及していますね(「feeling29のPV」のくだり)。彼も福岡を拠点にしていますが、やはり影響は大きかったのでしょうか?

クボタ:影響はあります。5lackやお兄さんのPUNPEEは日本語を使ったラップが世界一上手い人達だと思います。日本語特有の角ばった手触りを本当に上手にフロウされてる。韻の踏み方も硬い上にオシャレですね。

―他にも福岡のミュージシャンやシーンから学んだことはありますか?

クボタ:福岡のヒップホップシーンはブラックでアングラな方々が主流なので、僕みたいなのは異質だと思います。ただRin音くんやSHUN君などの似た音楽性のアーティストが同じ世代で出てきているので、少しずつ変わっていってるのかなと。

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