ビットコイン取引の追跡で明らかになった児童ポルノサイト

アメリカ国税庁が暗号通貨の取引を解読し、ダークウェブ上のサイト作成者を特定。(Photo by Aleksey Boyko/Shutterstock)

アメリカと韓国の政府当局は、ビットコイン取引の分析が、インターネット上最大の児童ポルノマーケットのひとつの摘発に繋がったとブルームバーグが報じている。

捜査官は2018年3月このサイトを閉鎖したが、現地時間16日に初めて表沙汰になった。サイトを作成した23歳のジョン・ウー・ソンに対する起訴内容が、アメリカ政府より公表されたのがきっかけだった。ソン氏は韓国で有罪判決を受け、現在韓国の刑務所で18カ月の刑期を務めている。また昨年8月にはアメリカで、児童ポルノおよびマネーロンダリングの容疑で非公開で起訴された。摘発の結果全世界で337人が逮捕され、アメリカ、イギリス、スペインで少なくとも23人の未成年者が救出された。

起訴状によると、ソン氏のサイト「Welcome to video」は100万本以上の動画を配信しており、その中の25万本以上はこのサイトでしか配信されていないものだった。さらにそのうち45%は、全米行方不明者・児童搾取センターにも届けられていなかった。ユーザーは無料でサイトに登録して動画をダウンロードすることができたが、動画のアップロードや新規ユーザーの紹介で「ポイント」を獲得することもできた。6カ月間無制限でダウンロードできるVIPアカウントは、少なくとも2018年3月の時点で、353ドル相当のビットコイン価格で販売されていた。

「Welcome to video」が運営されていたダークウェブは、暗号化と暗号通貨によって児童ポルノやその他違法取引の温床となっている。イギリス国家犯罪対策庁の捜査官は、現在禁固25年で服役中の男性の取り調べ中にこのサイトを発見し、最終的にソン氏にたどり着いた。一方、アメリカ国税庁犯罪捜査課の捜査官はビットコイン取引を分析し、ソン氏の特定のみならず、サイトのサーバーが韓国の同氏の自宅にあることも突き止めたという。さらにアメリカ国税庁の捜査官は暗号通貨の分析により、サイトの個人ユーザーの特定に至った。

「ブロックチェーンを分析し、ビットコイン取引からユーザーを割り出すことができたことで、世界中の数百人の加害者の特定にいたりました」と、犯罪捜査課のドン・フォート主任はこう述べた。「この犯罪のスケールは目をむくほどおぞましいものです」

起訴状の公開により、30人以上のユーザーが逮捕されたこと、そのうち数名は元連邦捜査官とみられることが判明した。逮捕者のうち2名は当局が捜査令状を発行した後に自殺した。また、マネーロンダリングおよび児童ポルノ作成の容疑がかけられているユーザーが所有する合計24の暗号通貨アカウントを押収するべく、資産凍結が申請されている。

Translated by Akiko Kato

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