ハリー・スタイルズ密着取材「心の旅で見つけたもの」

「失恋を乗り越えるのにふさわしい唯一の手段が音楽なんだ」

ハリーは去年、フランス人のモデル、カミーユ・ロウとの交際をスクープされた。2人は1年付き合った後、昨年の夏に破局した。「あいつはあの破局でかなりダメージを受けた」とハル。「レコーディング初日にスタジオ入りした時、俺はすごく素敵なスリッパを履いてたんだ。あいつをボロボロにした元カノが俺にプレゼントしてくれたんだ――家族全員分のスリッパを買ってくれたてね。俺たち家族は今も彼女と仲がいいんだ。『このスリッパ気に入ってるんだよな。履いても構わないかな――変じゃねえかな?』って思ったよ。そしたら案の定、あいつがスタジオにやって来て30分も経たないうちに俺を見てこう言ったんだ。『そのスリッパどこで買ったんだい? 素敵じゃないか』。俺は仕方なく、『まあ、その、お前の元カノが買ってくれたんだよ』って白状した。そしたらあいつは『なんだって!?  よくものこのこ履けるな!』。でも俺はずっとこう言い続けた。『一番いい対処方法は、その思いを曲に込めることだ』って」

紳士的な態度を重んじるハリーは一切彼女の名前を口にしない。だが、個人的な失恋から曲を作ったことは認めた。「僕はインタビューで、『付き合ってた人がいて、こうなってしまった』と言ったことはない」と彼は言う。「僕にとっては、それを乗り越えるのが音楽だからね。変かもしれないけど、それを乗り越えるのにふさわしい唯一の手段が音楽なんだ」

確かに、新作の楽曲には痛みがにじみ出ている。「2人は永遠に結ばれる星回りじゃなかったってことさ」とハルは言う。「でも俺はあいつにイギー・ポップの名言を教えてやった。『俺は自分とファックしてくれる女性としか付き合わない。何故ならそこに曲があるからだ』。それからあいつにこう言った。『お前はまだ24~25だろ、まだまだ独身を謳歌できるぜ。女だろうと男だろうと、お前とファックしてくれる超イケてるやつと付き合え。そして思いっきり冒険して、影響を受けて、それを曲にしろ』ってね」

彼の仲間は、ハリーの魅力に虜になったインディーズ・ロッカーばかりだ。サラ・ジョーンズはドラムの女神として君臨する以前、ごく一握りの人間が懐かしく思い出すロンドンのバンド、ニュー・ヤング・ポニー・クラブで叩いていた。ローランドもジョーンズも、ハリーと出会うまではワン・ダイレクションについてはほとんど何も知らなかった――「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」も、ハリーに演奏してくれと頼まれて初めて聴いた。2人の会話はビッグ・スターやガイデッド・バイ・ヴォイシズ、はたまたニール・ヤングの「スピーキン・アウト」に出てくるニルス・ロフグレンのギターソロのことばかり。業界の色に染まっていない、ちょっと生意気なロックおたくの集団だ。

Translated by Akiko Kato

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