SUBLIME WITH ROME来日目前、メンバーが語った「SUBLIMEから学んだ無限の可能性」

3rdアルバム『Blessings』が内省的になった理由

―そして、カルロスは今年5月にリリースされた最新3rdアルバム『Blessings』で初参加してます。今作の制作自体はどんなプロセスで進んだんですか?

ちょっと時間がかかったね。俺もそうなんだけど、アーティストって割といくつか曲ができたらとりあえずスタジオに入って、レコーディングを進めながら残りを仕上げていくというパターンが多いんだけど、今回は俺がまず自分で曲を一通り書き上げてしまいたかったんだ。歌詞まで全曲しっかりと書き上げた上で、スタジオでは録音だけに専念するようにしたかった。そうすることで音や演奏の良さをとことん追求できると考えたからなんだ。実際、その通りの仕上がりになったと思う。ただ、曲作りには時間を要した。いい曲を書くには手間暇がかかるものなんだ。レコーディングに値すると自信を持って言える曲ができたら、スタジオでバンドに披露して、彼らが納得してくれたら録音に進む。ほかのメンバーにとっては俺が歌詞で悩んでいるのをただ待っているという手持ち無沙汰な時間も省けるし、スタジオでしかできないことに専念できて良かったんじゃないかな。



―じゃあ、レコーディング自体はスムーズに進んだと?

ああ、レコーディングはスムーズだったよ。

―曲作りには手間暇がかかるということですが、今作の楽曲は何かテーマめいたものはあったのでしょうか?

最初は思うままに書き始めたんだけど、ちょうどそれが俺が結婚して初めて子供を持つことを考えて……みたいな人生初の出来事と向かい合う特殊な時期だったんだ。俺にしてはかなり内省的になっていたんだよね。それに伴って、バンドの10年を振り返ったり、自分の今までの人生を振り返ることも多かった。そんな自分の気持ちを曲に書いてみたいと思っていることに気がついて……それも後から考えて、わかったことなんだけどね。完成したアルバムを改めて聴いた時に初めて「あ、そういうことだったんだ!」と自分で理解したんだ。俺の息子が将来、これを聴いて父親が何を考えていたか知ってくれたらいいなと。

―内省的になっていたというのはとても腑に落ちます。今作は過去2作品にあったパンキッシュな曲調は影を潜め、あなたの歌を前面に押し出したメロディアスな曲調が増えてますよね。

ああ、そうかもしれない。俺の感覚としては、歌詞のストーリーがまずあって、その舞台を設定するような感じで曲を仕上げたんだ。

―なるほど。今作の中で個人的には「Spiderweb」が特に好きです。

それは嬉しいね(笑)。その曲はエリックがツアーバスの中で弾いていたベースラインが元になってるんだ。すごくいい感じのグルーヴで俺も気に入っていたからね。そのインスト・バージョンをスタジオで聴き返していたんだけど、今回の曲作りに本格的に取り掛かる前で、あんまりいいアイデアも浮かんでこなかったんだ。でもあの曲のグルーヴは気に入っていたから、「絶対アルバムに入れたい!」と思って書いた曲なんだ。歌詞の内容は自分の気持ちがそのまま表れてる。アイデアが浮かんでこない不安やフラストレーションだったり、レコードを作っても誰か聴いてくれるんだろうって(苦笑)、自信をなくして自分に対してネガティヴになってしまうことがあるんだよ。特にアルバムを作る前はそうなんだ。でもあの曲でドアの扉が開いた状態になり、次に書いたのが「Light On」でね。アルバムでやりたいことがはっきり見えてきた状態で書いた真逆の曲なんだ。

―あと「Thank U」はどうですか。打ち込みを使っていて、他の曲と趣が違いますよね。

ああ、その曲はアルバムにギリギリ間に合ったものでね。今回サンプルを使った曲がいくつかあったんだけど、他は権利をクリアにできなくてね。でも「Thank U」はどうにか間に合って収録することができたんだ。ただ、本当にギリギリでバンドで集まって仕上げる時間もなかったんだ。で、俺は割と引きこもり癖があるんだけど、妻はそんな俺をいつも外に引っ張り出してくれるんだよ。「たまには陽に当たらないと、人と会わないと!」って。俺はそれにすごく感謝してて、彼女がいなかったら思い切り引きこもり人生を送っていたと思うんだ。彼女のおかげで思い切ったこともできるし、より良い自分になれているんじゃないかな。そんな思いをそのまんま曲にしたら、40分ぐらいで仕上がってしまった。それをメンバーに送って聴かせたらすごく気に入ってくれて、「俺たちにも弾かせろ!」と言ってくれたんで、急いで車を飛ばしてエリックのところへ行ってベースとドラムを入れたんだ。

Translated by Kazumi Someya

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE