きっかけは『ニンジャバットマン』 アメリカン・ロック×日本のアニメ、異色コラボの裏側

─『SOUND & FURY』のジャケットにも映像と同じく、印象的な車がどちらにも登場しますが、なぜこの車にしたのでしょうか?

スタージル:俺が個人的に好きな ダッジ(アメリカの自動車メーカー)のイメージを採用したんだ。アニメーション用に少し調整というかカスタマイズをしているけれど、ベースとなったモデルは70年代のバラクーダかな。





─音楽的に言えば、前作とは打って変わって、この『SOUND & FURY』は、いわばカントリーというカテゴリーからは少し外れたいわばロックアルバムになっていると思います。このようにシフトした理由は?

スタージル:音楽は色々なところから多大なる影響を受けているんだよ。昔から色々なものを聴いて育ったし、カントリー・レコードにだってロックやサイケデリックの要素は多分に入っていたから。前作はR&Bのエッセンスも入っているんだ。だから聴いてきた全ての音楽の影響が湧き出てきているんだろうな。ここ数年は、気の知れたバンドメイトと俺との4人だけの編成でツアーを回っていて。だから音楽的にもそのようなシンプルな方に向かってきている。ロックして、もっとお客さんをダンスさせて、それで楽しい時間を過ごしてもらうようなね。だから今回はそういうレコードを作るべきだって思ったんだ。



─昨年11月、クリエイターと直接日本で打ち合わせをしたとのことですが、直接クリエイターさんにお会いした時はどのような思いがありましたか? また、どのような話をしたのですか?

スタージル:(2018年)7月にHiroに会って、彼がいかにエキスパートで、何につけても凄く穏やかなことにまず驚いたんだ(笑)。その時点ではこの製作がどのぐらい時間がかかるものか、どのぐらい費用が必要になるかもわからなかったんだけど。彼がプロジェクトの手綱を握ってくれてからすぐに彼のフレンズや関係者に連絡をつけてくれて。

ミーティングの為に次に日本に戻ってきた際には、クリエイターの皆がものすごい情熱と決意と意欲を持って(このプロジェクトに)向かってきてくれることに心底驚いたんだ。その時は、プロジェクトがどんな感じで進行しているのかちょっと見られるかな、ぐらいの滞在かと思っていたんだけど(笑)クリエイターの皆が俺と打ち合わせしたいと待ちわびていてくれてたんだから! だから全力でそのプロジェクトの一部になろうとしたよ。彼らは本当にプロフェッショナルで自分の仕事に誇りを持っている。それぞれのスタジオを回って、沢山の人たちがこのプロジェクトに関わってくれているのを見て本当に驚いたんだ。





─「A Good Look」のダンスシーンがとても痛快でした。このアイデアはいつからあったのでしょうか?

スタージル:子供の頃、祖父とセルジオ・レオーネ(イタリア製西部劇で有名なイタリア人映画監督「荒野の用心棒」等)の沢山の作品を観ていて、後になってそれらの映画が黒澤明監督の映画にとてつもなく影響を受けていることを知ったんだ。その後、黒澤作品に惚れ込んだんだ。2017年7月に、Shunと観ていた映画の一つが北野武監督の『座頭市』だった。エンディングのダンス・シーンは、なぜだかわからないけど直感的にこれが必要だと思った。オールド・ムービーを好む人たちの為にも。彼らは悪の暴君の死を祝福するんだと。だからJumpeiに、ダンス・シーンをどうにか組み込めないかと聞いてみたんだよ。そしたら「大丈夫、わかった」と(笑)。それ以降は全部彼のアイデアなんだ、本当に彼は素晴らしいよ。ダンスは、実際のダンサーを準備して、グリーンスクリーンをバックにモーション・キャプチャーで動きを取り込んでもらっているんだ。

水崎:曲を聴いて、やはり4曲目(「A Good Look」)は完全にダンス・ナンバーだな、というのは印象としてありました。で、スタージルが、北野武監督の『座頭市』のラスト・ダンスのアンサーというか、オマージュみたいなことをやりたいと。実をいうと、僕はもう「座頭市」でやってることをもう1回ここでやる必要あるのかなっていう思いもあって、最初はそんなにやる予定ではなかったんです。ただ、色々と自由に作らせてくれてるスタージルが「4曲目だけはダンスでやりたい。Jumpeiのパートでやってくれないか」と強くリクエストしてきたんですね。あ、これは本当にやりたいんだなと思って。

でも前述の通り、そのままやるのは少し本意では無いな、っていうのがあったので、イントロの間はバトルを展開して。あ、このまま戦いに行くんだなって思ったら急に踊りだすっていう(笑)。そういうサプライズを入れて『座頭市』との差別化を図れるんだったらいいかなと思って。さっきまで戦ってた奴らは一体どうなったんだ(笑)っていう混乱も含めて面白くなるかなと。

─まわしをしめたダンサーはどこから思いついたんですか?

岡崎:キャラクターのコンセプトやアイデアのベースはスタージルからもらったんですけど、とにかくあのでかい(敵役の)キャラクターは、やっぱ周りに半裸のお姉さんをはべらせていたいなっていうのを思ったんです(笑)。

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