米政府機関の情報発信に革命起こした「グレート・ベイビー」

米国消費者製品安全委員会の投稿が、政府機関のミーム画像としては初めて公式蔵書に選ばれた。(Consumer Protection Safety Commission/Joe Galbo)



ミーム誕生の経緯

ガルボ氏がCPSCに勤め始めたのは2016年7月。それまではニュージャージー州ジャージーシティのリバティサイエンスセンターに勤務していた。在職中、彼はミュージアム収蔵品の面白さに愛着を抱くようになっただけでなく、ともすれば退屈になりがちな話題を魅力的な方法で紹介するセンスを磨くことができた。だが、CPSCで同じことをするにはいくつかのハードルを乗り越えなければならなかった。人手不足で、インハウスのグラフィックデザイナーもいない。ガルボ氏はPhotoshopを独学で覚えなくてはならなかった。またCPSCのTwitterに大真面目な広告とおバカな広告を並行して投稿し、反応を比較するA/Bテストを実施しようとしたが、そのために上司を説得しなくてはならなかった。



だが、ガルボ氏が直面した最大の危機は消費者製品安全法の第6節(b)だった――企業の許可がない限り、CPSCがブランドを特定したり、ブランドの入った画像を使用したりするのを禁じる、ひときわ厳しい広報規則だ(これは消費者保護団体にとっても悩みの種で、この規則のせいで不良品回収が遅れる可能性があると主張している)。それはすなわち、誰もが当たり前に使っているミームの効率性を、ガルボ氏はフルに発揮することができないことを意味していた(例えば、スポンジボブのスクリーンショットはNG)。だがこうした制限が逆に、著作権フリーの素材を最大限に活かすというシュールな美的哲学へと彼を向かわせた。

「そうした制限をなんとかクリアして、ソーシャルメディアで何かやってみようと思ったのはあれが初めてだったと思います。クリアするだけじゃなく、クリエイティビティを総動員して回避してやろうとね」と、ガルボは乳児安全月間のミーム第1号について語った。「今考えればおかしな話ですよね。いろいろな意味で、ああいう厳しい規則のおかげで今の方向性に進むことができたわけですから。どんな弁護士も、まさかこんなのが出てくるとは想像もしなかったでしょうね」

その後ガルボ氏は一風変わったミームで、火災報知器の電池交換や熱くなった公園遊具への注意喚起を呼びかけ、数年でCPSCのソーシャルメディアのフォロワー数を増やした。またキャラクター開発にも着手した。ハリケーンのシーズンやハロウィンに安全に関する豆知識を授けてくれる、猫のコペルニクス・ジャクソン。オフロード車乗りで、しばしば見知らぬ土地に迷い込むが、絶対にヘルメットを忘れないテッド。例のフォースフィールドの赤ん坊は「グレート・ベイビー」として帰ってきた。はるか彼方から遣わされ、親たちに電気コードを乳児から遠ざけるようにとか、就寝前にベビーベッドからものを取り除くようにといったメッセージを発信する、謎の生命体だ。



在職中、CPSCの上層部からのお咎めはほとんどなかった。何かトラブルを起こしたとしても、「いいトラブル」だったとガルボ氏。彼はCPSCの調査チームと密に連携し、チームが収集した山のような重要なデータが正確に紹介されているかどうか確認する一方で、巨大なハンバーガーのモンスターが街を襲う画像を制作する。委員会のアン・マリー・バークル元会長(6年の任期終了後、9月末で退任した)も定期的にミームに力を貸してくれたと、ガルボ氏は付け加えた。もちろん、ソーシャルメディアチームが真面目になるべきタイミングを心得ている限りは、だが。ガルボ氏いわく、一度だけ彼は最上層のお偉方から――具体的に誰とは言わなかったが――予期せぬお叱りをうけ、少々手綱をゆるめたことがあったそうだ。

Translated by Akiko Kato

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