タル・ウィルケンフェルドが語る音楽人生、レジェンドとの共演秘話、トゥールからの影響

タル・ウィルケンフェルド、2019年9月初旬に都内で撮影(Photo by Hana Yamamoto)

タル・ウィルケンフェルドが2019年、ソロ・アルバム『ラヴ・リメインズ』を発表、8月に来日ライブを行った。ジェフ・ベックとの活動で一躍注目され、初のソロ・アルバム『トランスフォーメーション』(2009年)によって若きスーパー女性ベーシストと呼ばれるようになったタルだが、2015年に行われた初のソロ来日では自らボーカルを取るシンガー・ソングライター・スタイルでのステージを披露。『ラヴ・リメインズ』、そして今回の日本公演ではその路線を受け継いでいる。アーティストとしてのポリシーやさまざまな共演、今後の彼女が進んでいく道などについて、タルが雄弁に語ってくれた。


ー『ラヴ・リメインズ』ではシンガー・ソングライターとしてのあなたの魅力を聴くことが出来ますが、自分で歌うことはいつから意識していたのですか?

タル:子供の頃、音楽に目覚めたときからよ。歌うのが好きだった。ただ、14歳のときに曲を書くようになって、しばらくギターに専念していた。15歳のとき、アメリカに引っ越したときはギターを弾いていたけど、半年ぐらいしてベースという楽器の魅力を発見して、ベースで“音楽の言語”を話すことに夢中になった。それで気がついたらオールマン・ブラザーズ・バンドと一緒にやるようになって、それからジェフ・ベック、ハービー・ハンコック、プリンス……そうして年月が経って、ある日ふと気がついたのよ。自分がやるべきこと、やりたいことは何だろう?……ってね。もちろん、いろんなミュージシャンと共演するのは楽しいし、スキルを上げることが出来たけど、本当にやりたいのは自分の音楽をやることだと気付いた。私はボーカルのレッスンとかは受けたことがないし、“正しい”歌い方は知らない。でも、自分が書いた歌詞を他人が歌うよりも、うまくなくても自分自身で歌った方がフィーリングが伝わると思ったのよ。



ー影響を受けた、あるいは目標とするシンガー・ソングライターはいますか?

タル:たくさんいるわ。ボブ・ディラン、レナード・コーエン、ポール・サイモン、エリオット・スミス……ジェフ・バックリィは一番好きなボーカリストね。彼らの中で生きている人と共演出来たら凄いと思うけど、それが究極のゴールだとは考えていない。私は音楽を書いてプレイするのが好きだし、彼らのような曲を自分で書くことが出来るようになることが目標ね。

ー10年前にあなたにインタビューしたときは、スティーヴィー・ワンダーと共演することが目標だと言っていましたよ。

タル:そんなこと言った(笑)? スティーヴィーとは何度か会う機会があったけど、まだ共演はしていないのよ。彼と一緒にやってみたいけど、それが究極の目標かというと、やはりそうでもはないと思う。それは自分の音楽で達成したいわ。

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