「なぜ猫はこんなに可愛いのか?」最狂ライブバンド、!!!のニック・オファーが熱く語る

!!!を支えるダンス・ミュージックの哲学

ー歌詞のテーマはいかがですか?

ニック:政治的なレコードを作ることも考えたけど、それをやろうとすると大変だから、あまり意識はしなかった。でも今の時代、深く自分たちの毎日に政治が関わっているから、自然とちょっと政治的になったんだ。

ー確かに、政治的/社会的な内容に寄った作品になっています。トランプ以降に変質していったアメリカ社会への視線もあると思います。リリックのテーマについて考えたこと、またあなた方が伝えたかったことはなんでしょう。

ニック:伝えたいというよりは、この大変な時代をどう乗り切ろうか、という内容かな。今の政治の状態のせいで自分がどんな気持ちになるか、その感情が歌詞になっていると思う。普通のラブソングもあるし、政治以外のトピックももちろんテーマになっているけどね。俺たちは政治的なことに関して人を教育したいわけではないんだ。それは俺たちがすべきこと、したいことじゃない。俺たちはそれよりも、自分たちの音楽を通して心のキズや悲劇をそのまま表現したいんだよね。

ー歌詞を書く時に心がけていることは?

ニック:マインドをそのまま書き出すことだね。心から出てくるがままに、まずは外に出す。いい歌詞が生まれる時っていうのは、大抵そのネタが多い時だね。何ページも言葉を書いて、その中から沢山削っていく。たまに、読み返していて「よくこんなの歌詞にできると思ったな」なんて思うこともあるくらいさ(笑)。でも、まず書いてみるのがいい。そこからいい歌詞を作り出していけばいいのさ。


Photo by Kelsey Bennet

ーあなた方の音楽はダンス・ミュージックと言っていいと思います。ダンス・ミュージックの第一義は“踊れる”ことですが、同時にクリエイティブであることも必要になる。ダンス・ミュージックにとってクリエイティブであることとはどういうことだと考えますか。

ニック:ダンス・ミュージックは、自分が気に入ることが一番。その曲が自分にビビっとこなきゃダメなんだ。そのうえで、フロアで機能しなきゃならない。それのみさ! アホっぽくても、バカっぽくても、それが機能するならいい。前向きなダンス・ミュージックもあれば、シリアスなダンス・ミュージックもある。俺たちはその両方が好きだ。ファンクに色々な実験的要素を混ぜて、新しいダンス・ミュージックを作っていきたい。自分たちの音楽には、現在存在するあらゆるダンス・ミュージックの要素をもたせたいんだ。

ーあなたは、ダンス・ミュージックのグルーヴをスタジオ内での作業で作り出だすわけです。しかもそれは実際のダンス・フロアで通用するものじゃなきゃいけない。そこで具体的にどんなことを心がけてますか?

ニック:音楽を作るなら誰だって最初はスタジオにいる。スタジオにいるのは楽しいし、何がダンス・フロアで機能するかはスタジオでだってわかってるものさ。パフォーマンスしたりDJしたりしてると、フロアにとって何がいいかわかってくるものなんだよ。



ースタジオ内で作ってバッチリだった曲がライヴでやったらイマイチだった、という経験はありますか。

ニック:ないな。スタジオには良いスピーカーがあるし。スタジオってどんなサウンドでも作れるからさ。チープなドラム・マシンでも、チープなシンセサイザーでも、クリエイティビティさえあればビッグなサウンドは作れる。でももちろん、ライブでやってオーディエンスの反応を見て、調整したりはするよ。ここはもうちょっと強くしたほうがいいな、とか。それはもう実際に経験してよりよくしていくしかないからね。

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