Jingo「Fever」のキモ気持ち良いリズムの仕組みを、鳥居真道が徹底解剖

「Fever」を聴いてなんか妙だなと感じるのは、スネア=バックビートだと捉えてしまう癖がついているからでしょう。「Fever」はドラムは別として、その他の楽器隊が6/8の拍をオモテとウラに細分化し、縦に細かく揺れるような16ビート的なフィールで演奏しています。ここに4/4拍子のシャッフルのドラムパターンが入ると、通常は表拍のバックビートとして機能するはずのスネアが6/8側から見たときに裏拍となるので非常にインパクトがあるわけです。ただし、ウラなんだけど同時にオモテでもあるということがミソだったりもするので、ポリリズムを6/8と4/4に区別して片方だけ聴くということはできれば控えたいです。カレーライスを食べる際に、先にルーをゴクゴク飲み込んで、後からライスをハフハフかっこむようなものです。これではポリリズムの美味しさが削がれてしまいます。

また「Fever」には、ラテン音楽におけるクラーベのような定型のリズムが内包されているように感じます。

アフリカ音楽の研究者の間で標準リズム型と呼ばれるパターンがあります。アフリカ大陸広範に見られるパターンで、鉄製のベルなどで演奏されるとのことです。その中でも1番オーソドックな型をドット譜で表すと以下のようになります。

12/8 |X.X.X..X.X..|

この5つの打点によるパターンがキューバに渡ってクラーベになったなんていう話もあります。ハチロク・クラーベないしアフロ・クラーベと呼ばれるパターンと同じものです。標準リズム型について詳しく知りたいという向きは『アフリカ音楽の正体』(塚田健一著)という本をあたってみてください。

Rolling Stone Japan 編集部

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