Jingo「Fever」のキモ気持ち良いリズムの仕組みを、鳥居真道が徹底解剖

鳥居真道が所有するアフリカものコンピのCDコレクション

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」。クルアンビン、ジェイムス・ブラウン、細野晴臣、ヴルフペックの楽曲考察に続き、第5回となる今回はJingoの楽曲「Fever」を徹底考察する。

第1回のクルアンビンから始まり、JB、細野晴臣、ヴルフペックと続き、今回はオブスキュアなアフロ・ファンクのマスターピース、ジンゴの「Fever」を取り上げたいと思います。アフリカのベーシックなリズムの型が内包された非常にクールな1曲です。



「Fever」は1977年にケニアでリリースされた自主制作盤の7インチです。国外に紹介されたのはリリースから24年後の2001年のことでした。イギリス人ディープ・ディガーのダンカン・ブルッカーがアフリカを放浪しながら発掘した60〜70年代のアフロ・ファンクの音源をまとめたコンピ『Afro Rock』のオープニングトラックに取り上げられたことがきっかけです。『Afro Rock』は元々ダンカン・ブルッカーの自主レーベル、コナ・レコーズからリリースされたコンピですが、2010年にイギリスの再発系レーベル、ストラットから再発されています。彼はストラットの『Nigeria 70』シリーズを監修しており、アフリカもののファンたちはブルッカーに足を向けて寝られないと言って過言ではないでしょう。

「Fever」を初めて聴いたときの衝撃たるや、それはもう凄まじいものでした。初めて手に取ったアフロ・ファンクのコンピの1曲目がこれと来た日には、そのインパクトはなおのこと。自分がこれまでに接してきたリズムとは明らかに異なると同時に、各楽器のリズムパターンには馴染みがあるような気がするという不思議な感覚がありました。適当に近所をぶらぶら散歩をしていたら知らない道に迷いこんでしまったものの、ずんずん足を進めるうちに馴染みのある風景が見えてきた。しかし、なんだかいつもと違って感じられる。そんな経験ってありません? それに近い心持ちを抱いたのでした。

Rolling Stone Japan 編集部

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