銃撃事件のライブ配信は、「無差別暴力のゲーム化」を助長するのか?

ユダヤ教でもっとも大事な祭日ヨム・キプル(贖罪の日)に、銃撃犯がドイツのシナゴーグに侵入を試みた後、2人が死亡。(Photo by Robert Michael/dpa/AFP/Getty Images)



配信の目的は?

Twitchの広報担当者はローリングストーン誌に宛てた声明の中で、動画はすでに同サイトから削除されたものの、アップロードされた経緯については現在調査中だと述べた。「我々は本日ドイツで起きた事件に衝撃と悲しみを感じております。被害に遭われた皆様には心よりお悔やみを申し上げます。Twitchでは憎悪による行為は一切許容しない方針を取っており、いかなる暴力にも真剣に対処いたします。我々はただちにこのコンテンツを消去いたしました。他のアカウントでこの忌まわしき行為の映像を投稿または再投稿されているのが判明した場合は、そのアカウントを永久に停止いたします」

銃撃をライブストリーミングしていたことから、この犯人は昨年春ニュージーランドのクライストチャーチで起きたモスク銃撃事件の犯人を模倣しようとしていたようだ。51人が命を落としたこの事件はFacebook Liveでストリーミングされ、Facebook側は慌てて動画を削除するはめになった。いずれの事件でも、犯人はヘルメットに着けたカメラからライブストリーミングし、自分たちの犯行をファーストパーソン・シューティングゲーム(一人称視点のゲーム)風にしていた。この点については、調査報道サイトBellingcatのジャーナリスト、ロバート・エヴァンス氏が詳しく説明している。

こうした試みは、極右白人ナショナリスト全般にみられる「無差別暴力のゲーム化」を助長する流れの一部だと、エルパソ銃撃事件後の記事でエヴァンス氏は述べた。この事件でも、容疑者は襲撃前に憎悪に満ちた犯行声明文を投稿していた。エヴァンス氏いわく、8chanや4chanといったフォーラムでは、極右過激派たちが襲撃による死者の数を「高得点」と称して夢中になり、犯行のライブストリーミングはもちろん、映像のバックに流す「サウンドトラック」の選曲について語り合っているという。「我々がここで目にしているものこそが、8chanが世界のテロリズムに唯一もたらした真のイノベーションです」と記事の中でエヴァンス氏は述べ、こうした暴力行為の最終目的は世間の注目をひいて模倣犯を煽ることだと締めくくった。警察は今のところ、ハレの事件の犯人がchanカルチャーに関係していたと断定はしていないが、動画の中で犯人は自らを「anon」と呼んでいた。4chanや8chanなどのフォーラムでは、匿名の投稿者を指す言葉だ。

ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグTree of Lifeで起きた銃撃事件や、カリフォルニア州パウウェイのシナゴーグで起きた襲撃事件をふまえると、今年に入ってからシナゴーグで起きた襲撃事件はこれで3件目となる。

Translated by Akiko Kato

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