銃撃事件のライブ配信は、「無差別暴力のゲーム化」を助長するのか?

ユダヤ教でもっとも大事な祭日ヨム・キプル(贖罪の日)に、銃撃犯がドイツのシナゴーグに侵入を試みた後、2人が死亡。(Photo by Robert Michael/dpa/AFP/Getty Images)

現地時間9日、名前が公表されていない銃撃犯がドイツの街ハレのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)の外で2人を射殺したとのニュースが入った。銃撃からほどなく、ドイツ当局は容疑者を逮捕、拘束した。警察によると、近隣の町ランツベルクでも発砲事件が起きたが、2つの事件の関連性は明らかになっていない。

銃撃が起きた日がユダヤ教で最も重要な祭日ヨム・キプル(贖罪の日)だったことから、当初犯人は極右白人至上主義者だと見られ、ドイツ国務大臣も、「反ユダヤ主義的な攻撃」として事件の捜査を進めていることを明らかにした。事件の動機や、今回の犯人が8chanや4chanなどの掲示板の常連だったかについてはわかっていない。こうした掲示板は、クライストチャーチやエルパソの事件など、過去の銃乱射事件の犯人が過激化するきっかけとなったが、いくつかの点から、おそらく今回もそうである可能性が高い。

中でもとくに顕著なのは、犯人がわざわざカメラを装着したヘルメットをかぶり、攻撃の様子をゲーム配信サイトTwitchでライブストリーミングしていた点だろう。動画の中で犯人とみられる男は、女性や大量移民、ユダヤ人についてまくしたて、ホロコーストはでっちあげだという持論をほのめかし、カメラに向かって「西欧で出生率が低下したのはフェミニストが原因だ、それと引き換えに大量移民がやってきた、全ての元凶はユダヤ人だ」と語っていた。その後男は銃撃を録画するためのカメラを装着したヘルメットをかぶり、ダッフルバックから武器を取り出した。動画には、男がシナゴーグのドアを開けようと試みるも、開けらなかったために通行人に向かって発砲する様子が映し出された。その後男は近くのケバブ屋に向かい、再び発砲した。

Translated by Akiko Kato

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