米大富豪、実は労働者よりも税率が低いという新事実が発覚

大富豪の代表格、ジェフ・ベソス(J. Merritt/Getty Images)


では、どうしてこんなことが起きたのか。セズとザックマンの説明はこうだ。20世紀半ばのバカ高い税率のあと、中流以下の経済を活性化する(「トリクルダウン理論」を参照)という口実で、企業と政治家が結託して富裕層の税率を下げる方法を模索した。しかし、そんなことはついぞ実現せず、収入格差は広がるばかりで、経済の活性化どころか悪影響を与える結果となってきた。

10月6日のニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたオピニオン記事では、同著の分析に沿って、富裕層の税率の急激な低下を衝撃的なビジュアルで表した。富裕層の税率が低下する間、中低所得層の税率は横ばい状態だ。これは中低所得層にとって、資本利得税、不動産税、法人税の減税は富裕層ほど恩恵がないことに起因している。




デヴィッド・レオンハルトのTwitter:2019年10月7日
過去70年間の富裕層への急激な減税

民主党の進歩派は、富める者も貧しき者も考慮する健全な経済を育成する能力がこの税率によって骨抜きにされていると、長年に渡って警鐘を鳴らしてきた。今年1月には、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス民主党下院議員(ニューヨーク州選出)が最高限界税率を70%まで引き上げる制度を提案している。バーニー・サンダース民主党上院議員(バーモント州選出)は、アメリカで最も裕福な大富豪3人がアメリカ国内の人口の50%以上の収入や財産を支配していると、繰り返し注意を促してきた。エリザベス・ウォーレン民主党上院議員(マサチューセッツ州選出)は年間5000万ドル(約54億円)以上の財産がある家庭に対して2%の税金を課す法案を提出した。この法案では10億ドル(約1080億円)を超える財産には税率を上げることも含まれていて、ウォーレン議員のこの法案はセズとザックマンの研究が基になっている。

書籍『The Triumph of Injustice〜』で、セズとザックマンは富裕層の税率は60%前後にするべきだと主張する。これによって政府が得られる税収入が7500億ドル(約81兆円)増えて、民主党の急進派が推進する社会プログラムに費やすに十分な資金となるはずだ、と。ちなみに保守派と中道派はこの社会プログラムは現実的ではないと非難する。

政治批評家たちは「どうやってこの社会プログラムにかかるコストを捻出するというのだ?」と問うが、答えは簡単だ。金持ちから税金を徴収すればいい。1950年代はそれで上手く行っていたわけだし、セズとザックマンが主張するように、現代でもそれが上手く行かない理由はないのだから。

Translated by Miki Nakayama

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