米大富豪、実は労働者よりも税率が低いという新事実が発覚

大富豪の代表格、ジェフ・ベソス(J. Merritt/Getty Images)

アメリカ合衆国内に富の不平等が蔓延した原因を疑問に思う人は数多い。それは、実は「現在のアメリカの大富豪たちは労働者クラスよりも低い税金を支払っている」という衝撃的事実が原因だったのだ。

この新事実は、カリフォルニア大学バークレー校の二人の経済学者エマニュエル・セズとガブリエル・ザックマンが行った分析の結果の一つだ。彼らの最新共著『The Triumph of Injustice: How the Rich Dodge Taxes and How to Make Them Pay(原題)』では、アメリカ合衆国内の税率の厄介な進化を解析している。セズとザックマンは、2018年にアメリカ国内の上位400人の大富豪とその家族が収めた税金の総税率が23%だったことを突き止めた。一方、アメリカの中流以下の家庭が収めた総税率は24.2%と、富豪層よりも1%以上高いものだった。アメリカで最も裕福な400の富豪家族よりも労働者の税率が高いなど、アメリカ史上始まって以来の出来事だ。


地域のIRSオフィス(税務署)で納税申告を行う労働者たち、1965年3月11日、ペンシルバニア州フィラデルフィア。 (Photo by U S News & World Report Collection/Marion S Trikosko/PhotoQuest/Getty Images)

さらなる驚きは、富裕層の税率が20世紀半ばから急激に下がった事実だ。1950年からの10年間はアメリカに初めて好景気が訪れた時期で、当時の上位400の大富豪家族は70%という途方もない税率の税金を収めていた。それが1980年には47%となり、現在は23%である。中流以下の60%の家族の富を合計したより多くの富を上位400の大富豪家族が所有しているという、(支離滅裂なまでに狂っているという点で)非常に興味をそそられる政策展開だ。

Translated by Miki Nakayama

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