モモコグミカンパニーの居残り人生教室「今泉監督と語ったBiSHの話と映画作りの話」

左から今泉力哉監督、BiSHのモモコグミカンパニー(Photo by Takuro Ueno)



緩い覚悟でものづくりして良かったとも思ってる

ー今泉監督はこれから自分はどうしていきたいとかありますか?

今泉:あんまり変わらずに今と同じようなものを作りつつ、ちゃんと食べていければいいなと思います。あとギャラの単価を上げていきたいですね。そうすれば作品をたくさん作らなくてもいいじゃないですか。僕は多作でありたいわけじゃないし、日々作らずにはいられないとか、アイデアがいっぱいあって困るみたいな人間じゃなくて、基本的には寝てたいんです。だから作るものは面白いものにしたいし、お仕事な感じにならないようにしたい。それが一番ですかね。自分には今家庭があって子供もいるんですけど、嫁が監督だったんですよ。昔は自主映画とか作ってベルリン映画祭で賞を取ったりしてて。でも、二人とも監督してたら収入が不安定だから、看護師の仕事をして家庭を支えてくれているんです。だから子供が大きくなって僕の収入も安定したら、嫁もどこかのタイミングで映画に戻れるだろうから、いつかまた映画を撮ってほしいなと思っています。

ものづくりって難しいですよね。映画館のバイトをしてた時に監督志望が3人いて、俺が一番フットワーク軽く短編をたくさん作ってて、もう1人はのんびりしたペースで作ってて、もう1人は全然作ってなかったんです。そいつは映画っていうものを凄いものだと思ってるから、1本作るのに考えすぎてしまって、おいそれとは撮れないわけですよ。「今泉みたいに緩い覚悟でやってんのいいな」って言われたけど、緩い覚悟でものづくりして良かったとも思ってて。


Photo by Takuro Ueno

ー私も本を出す時に「本なんて私ごときが出せるわけがない」と思ってたんですけど、そこで考え過ぎたら出せなかったんだろうなって思います。今日は本当にお話しできてよかったです。ありがとうございました!

=あとがき=

今泉監督が、自分の作品は完成するまでどんな作品になるかわからないと言っていたのが印象的だった。監督といえば現場の一番偉い人で、作品に関する全てを牛耳る存在というイメージを持っていたので、今泉監督のようにいい意味で周りの人を頼り、自分一人で決めないというスタンスがとても新鮮だった。映画監督とBiSHのメンバー、共通点は自分やグループというものを通して何かを世間へ発信しているということ。グループで活動する時も自分一人の頭の中で物事を完結させないということはとても重要だと思った。どんなことでも自分一人の力には限界がある。自分だけの力で物事を進めたり、自分の意見を押し通したりするのは気持ちいいかもしれないが、相手に任せる部分を作ったり、他の意見を受け入れられるように自分の頭に余裕を持ったりすることも仕事をする上で大切だろう。今泉監督のような仕事の仕方が自然とできるような人間になりたいと思った。


今泉力哉
1981年生まれ。福島県出身。数本の短編映画を監督した後、2010年『たまの映画』で長編映画監督デビュー。翌2011年『終わってる』を発表後、2012年、“モト冬樹生誕60周年記念作品”となる『こっぴどい猫』を監督し、一躍注目を集める。2013年、こじらせた大人たちの恋愛群像劇を描いた『サッドティー』が第26回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に出品。『知らない、ふたり』(2016)、『退屈な日々にさようならを』(2017)も、それぞれ、第28回、第29回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に出品されている。他の長編監督作に『鬼灯さん家のアネキ』(2014)、深川麻衣を主演に迎えた『パンとバスと2度目のハツコイ』(2018)など。監督最新作、伊坂幸太郎原作&三浦春馬主演の『アイネクライネナハトムジーク』が現在公開中。


『愛がなんだ』
Blu-ray(特装限定版)&DVD
バンダイナムコアーツ
10月25日発売
レンタルDVD&配信同日リリース
デジタルセル配信1カ月先行リリース


モモコグミカンパニー(BiSH)
https://twitter.com/gumi_bish
2015年3月、BiSHのメンバーとして活動を開始。2016年5月のシングル「DEADMAN」で早くもメジャーデビュー。2017年12月には、結成からわずか3年で『ミュージックステーション』に出演し、“楽器を持たないパンクバンド”として強烈な個性を見せつける。2018年12月22日には幕張メッセ9・10・11ホールにて1万7,000人を動員した単独ライブ「BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL "THE NUDE”」を開催した。2019年7月に全国ツアー「LiFE is COMEDY TOUR」を実施。7月3日には最新アルバム『CARROTS and STiCKS』をリリース、9月23日には大阪城ホールワンマン『And yet BiSH moves.』、10月からは全国19カ所23公演をバンド編成でまわるホールツアー「NEW HATEFUL KiND TOUR」が決定。最新シングル「KiND PEOPLE / リズム」を11月6日にリリースする。現在BiSHのメンバーはモモコグミカンパニーの他、アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人。
https://www.bish.tokyo/


Edited by Takuro Ueno(Rolling Stone Japan)

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