スティングが日本で語るポリスからの40年、グレタ・トゥーンベリと福島への想い

スティング、2019年10月7日の福岡公演にて(Photo by 田中紀彦)



グレタ・トゥーンベリと環境問題、日本への想い

─あなたは環境問題に、いち早く取り組んできたミュージシャンとしても知られています。先日はグレタ・トゥーンベリさんの国連気候行動サミットでのスピーチが世界中に大きな衝撃を与えましたよね。

スティング:本当に感銘を受けたよ。彼女のような若者たちが、環境問題に対して真剣に関心を持っていることにね。でも、同時に恥ずかしさも感じた。僕らの世代は失敗したから。世界をより良くしていくべきなのに、環境問題についてやるべきことをやらず、しくじったのは自分たちの世代だということを痛感させられ、身を切られるような思いであのスピーチを聞いた。

個人的には出来る限りの努力をしてきたつもりだ。でも結果的に過ちを犯してきた。これから僕らがやるべきことは、世界中のリーダーたちがこの問題に真剣に取り組むよう、さらに訴えかけていくことだと思う。相変わらず政治家たちは、目先の問題で汲々としている。でも、本当に大切なことってなんだろう。呼吸する空気はきれいかどうか、飲む水がきれいかどうかじゃないのかな。それはグレタだけじゃなくて、分かっている人は分かっているのにね。とにかく世界のリーダーたち、トランプのような人物にそれを分からせないといけない。というか、早く彼を追い出さないと駄目だよ(笑)。

─日本では311以降、エネルギー問題でも転換期に来ています。CO2削減が国際的に叫ばれている中、大部分の原発を止めている日本としては火力に頼らざるを得ない状況で、かといって新しいエネルギーが主力になる見込みも当分ありません。当面は、原発再稼働するか否かの議論が続いている状況なのですが、そのような状況について、どう思われますか? 環境問題と原発問題、両立させていく道はあるのでしょうか。

スティング:まず、この問題に関しては本当に慎重に議論がなされるべきだと思っている。福島で被災された方々のことを、何よりも真っ先に考えなければならない。その上で、あの事故は世界中の人々の目を覚ますきっかけになった。我々現代人にとって「電力」は必要不可欠であり、24時間供給され続けているその恩恵を受けて生きているが、何か万が一のことが起きた場合とてつもなく危険であるということを、とことん思い知らされたからね。

今は、新しい電力を発生させる技術が必要だよね。注目されている「核融合発電」(21世紀半ばの実用化を目標に世界的に開発が進んでいる新しいエネルギー)は夢のような技術だし、個人的には是非とも実現して欲しいけど、まだまだ非現実的だとも思われている。一方、ドイツのように「脱原発」を始めた先進国もあるが、依然「原子力がベスト」という意見があまりにも多い。確かに原子力はパワフルだ。けれどもそのリスクを我々は思い知ったわけだから、やはり原子力に代わるエネルギーを見つけていくことが課題だと思う。特に日本は海にも囲まれていて、豊富な水と風、そして太陽もあるからね。


Photo by 田中紀彦

─日本に対する、細やかな心遣いに感激しました。

スティング:日本は本当に好きな国で、思い出もたくさんあるんだ。中でも富士山の近くにある温泉に行ったことが印象に残っている。古くからの建物が周りに残っていて、それがとても良かった。自分は島出身で、島にはたくさんのミステリーがある気がしていて、それを日本にも感じるんだよね。

そういえば先日、ウドー音楽事務所のトミー(重冨章二社長)と、「俺たちどれくらいの仲かな」「もう40年だよ」って話をしていた。40年間お互いを知っていて、日本に来るたび常に一緒に仕事をしている。こうやって長い間、継続的に関係性を築けているのは本当に素晴らしいことだ。いつ来ても気持ちよく滞在できるし、どの都市へ行っても親しみを感じる。自分が今暮らしているところとは全く違う環境なのに、心からリラックス出来るのは本当に彼らのおかげだと思っているよ。

─40年は長かった?

スティング:初めて日本に来たのは息子が2歳のときだった。彼は43歳でもう父親だよ(笑)。本当に時代は過ぎているのだけど、まるで昨日の出来事のようにも感じるな。ありきたりのことかもしれないけど、時間はあっという間に過ぎ去っていく。だからこそ、すべての瞬間を豊かに感じることが出来るんじゃないかな。僕はもう人生の折り返し地点をとっくに過ぎて、これまでと同じ年月は生きられない。それを考えると一瞬一瞬を本当に大切に思うし、一緒にいる人たちとそれを共有して生きていきたいんだ。

─あと、あなたにとって「日本」といえばラーメンですよね?

スティング:いつでも最高のラーメン店を求めて歩いている(笑)。それも、観光客が行くようなところじゃなくて地元のサラリーマンが通っているようなところがいいね。実は昨日も福岡で美味しいところを見つけたんだ。作業後を着た人たちが、美味そうに食べてる最高の店だった。これから東京、仙台、大阪と行く中で、そういうラーメン屋を見つけるのが本当に楽しみだよ!








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<来日公演情報>

STING MY SONGS

STING MY SONGS

10月7日(月)福岡国際センター
10月9日(水)幕張メッセ (7・8ホール)
10月10日(木)幕張メッセ (7・8ホール)
10月12日(土)ゼビオアリーナ仙台
10月15日(土)丸善インテックスアリーナ大阪

チケット
S:¥18,000
A:¥17,000
(全席指定・税込)
https://udo.jp/concert/Sting

〈リリース情報〉


『マイ・ソングス – スペシャル・エディション』
スティング
発売中

【来日記念盤】【SHM-CD】
■10月に来日公演を行うスティングの最新アルバムにしてベスト・アルバム『マイ・ソングス』のデラックス盤
■ポリスとスティングの名曲を現代にアップデートした『マイ・ソングス』に、現在進行中の同名ツアーの最新ライヴCD(11曲収録)を付けた2枚組

詳細:
https://www.universal-music.co.jp/sting/products/uica-1072/



『エヴリ・ムーヴ・ユー・メイク: ザ・スタジオ・レコーディングス』
ポリス
2019年11月8日リリース

■昨年、デビュー・アルバム『アウトランドス・ダム―ル』発売40周年を記念してリリースされたLPボックスと同内容の6枚組CDボックスがリーズナブル価格で登場。
■『アウトランドス・ダム―ル』(1978年)から『シンクロニシティー』(1983年)までの5枚のスタジオ・アルバムに加え、A&MのシングルB面からアルバム未収録のスタジオ・トラックをセレクトした12曲入りのボーナス・ディスクをセット。大ヒット曲「見つめていたい」のUK7インチ2枚組に収録されていた「トゥルース・ヒッツ・エヴリバデイ」のリミックスは、1993年リリースのCDボックス「メッセージ・イン・ア・ボックス~ポリス・ヒストリー」にも未収録だった、今作で初CD化となるレアなトラック。
■全ディスク、昨年のLPボックス用にアビイ・ロード・スタジオで新たにリマスターされた音源を収録。ジャケットはフルカラー・ゲートフォールドのデジパック仕様。
■日本盤のみSHM-CD仕様/解説・歌詞対訳付

詳細:
https://www.universal-music.co.jp/the-police/products/uicy-79024/

Translated by Kana Muramatsu

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