スティングが日本で語るポリスからの40年、グレタ・トゥーンベリと福島への想い

「見つめていたい」がヒットした理由、ベースへのこだわり

─ちなみに明日(10月9日)は、テレビ番組『スッキリ!』で「見つめていたい(Every Breath You Take)」を生演奏するそうですね。

スティング:そう。だから7時に起きなきゃ。このインタビュー終わったらすぐ寝るよ。



─(笑)。1983年にリリースされ、36年経った今も世界中で愛され続けているってすごいことですよね。

スティング:本当に信じられないよね。ちょうど先日、ライチャス・ブラザーズの「You’ve Lost That Loving Feeling」を抜いて、全米のラジオで最もプレイされた楽曲になったんだ。他にもこれまで本当、ありえないくらいの功績を残してきたことに驚いているよ。

─それはなぜだと思います?

スティング:なぜだろう……自分でもよくわからないな。ただ一つ考えられるのは、この曲のテーマが一方向じゃなかったこと。ロマンティックなラブソングのようで、実はそこに執着的な感情表現も盛り込まれている。そのアンビバレンツな部分が人々を惹きつけたように思う。楽曲自体はシンプルだけど、演奏スタイルや僕の歌い方など、色んな要素が上手く混じり合って、この曲を魅力的にすることが出来たのかもしれないね。


スティング、2019年10月7日の福岡公演にて(Photo by 田中紀彦)

─あなたはベーシストとしても、素晴らしい名演、名フレーズを数多く残してきましたよね。元々はどんなきっかけで弾き始めたのですか?

スティング:学校で、友達が「木工」のクラスでベースを作ってさ。当時の僕はギターでジャズやブルースを演奏していたから、ベースなんてどうせ退屈だと思ってたんだ。弦は4本しかないしギターなんかより簡単だろうってね。でも、その友達が「いいから弾いてみろよ」と言うので試しに演奏してみたら、その魅力というものにあっという間に取り憑かれてしまった。

─どんな魅力にですか?

スティング:例えばギターでCのコードを弾いたら、Cの響きにしかならない。でも、ベースの場合はそこでルート以外の音を鳴らせば、(分数コードとして)全く違う響きに変えることが出来るだろう? ベースという楽器の「真の力」をそこで思い知った。ハーモニーをコントロールしグルーヴを引っ張っていく……しかも表立ってパワーを発揮するのではなく、楽曲を下から支える形でね。

ただし僕は、「歌いながらベースを弾く」のが得意なだけで、歌だけ歌ったり、ベースだけ弾いたりするのはそんなに上手くない(笑)。両方を同時にやるのが、他の人よりも少しだけ上手かっただけなんだ。

Translated by Kana Muramatsu

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