丸屋九兵衛が教える、世界史ドラマとしての『ゲーム・オブ・スローンズ』の見方

『ゲーム・オブ・スローンズ』(提供:BS10スターチャンネル © 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBOR and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.)

架空の舞台で繰り広げられるファンタジー大作である『ゲーム・オブ・スローンズ』だが、実際の「世界史」をモチーフにしているところも実は多い。

もっとも有名なのは、薔薇戦争時代のイングランドを参照していることだろう。だが、それだけにとどまらず、『GoT』は様々な時代や地域の「世界史」からの引用が複雑に散りばめられている。そのコンテキストを理解することもまた、『GoT』の楽しみ方のひとつだ。本稿では丸屋九兵衛に、世界史ドラマとしての『ゲーム・オブ・スローンズ』の見方を解説してもらった。

小説であれ、映像であれ。世界史愛好家にとって、ファンタジー作品とは分析&ツッコミを入れながら偽歴史を楽しむ場でもある。

『コナン・ザ・グレート』=1万年以上前のはずなのに、どう見ても中国と思える「キタイ」という国が東方にある。モンゴル人らしき遊牧民もいるし。

『スコーピオン・キング』=舞台は紀元前3000年くらいだが、「メソポタミア人を殺したぞ! ひゃっほ~!」と気勢を挙げるバイキングらしき人たち。君たちの登場は4000年ほど後なのだが。

以上は、この地球が舞台なのに時空を捻じ曲げている豪快な2例だが、異世界を舞台に「架空の中世ヨーロッパ」をリアリズムで描いた『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下、『GoT』)の場合は、もちろん事情が違う。

『GoT』が15世紀イングランドの薔薇戦争をモチーフにしていることは有名だし、史実のランカスター家とヨーク家に、『GoT』のラニスター家とスターク家の原型を見るのは難しくない。しかし、薔薇戦争の両家の紋章であるバラは、『GoT』ではタイレルの家紋。原作者ジョージ・R・R・マーティンが繰り返すように「歴史をモデルにしているが、一対一の対応はしていない」のだ。

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