JAZZY SPORTのMARTERが体現、音楽を旅のように楽しむ秘訣

MARTER(Courtesy of avex entertainment)

MARTERこと山内将輝が今年7月に発表したニューアルバム『By The Ocean』が大きな話題を集めている。アコースティック・ギターを主体にした楽曲は、メロウで深みのある肌触りと、リゾートにいるような開放感を兼ね備えたもの。現在はJAZZY SPORTに所属し、CM楽曲制作やCharaのツアーメンバーなど精力的に活動している彼は、この時代にどのようなスタンスで音楽を奏でているのか。これまでの歩みと素顔に迫った。


ー14歳でLAに移住されたんですよね。その頃はどういう音楽を聴いていたんですか?

ずっとMTVを見ながら、メインストリームのTOP40を聴いてましたね。エアロスミスとか。学校でも音楽が流れてたし、友達の影響でメタリカとかも聴くようになって。

ー最初は割とロックだった?

そうですね。中学生の頃はサザンやアルフィー、長渕剛とか好きでしたけど、音楽を初めてからは洋楽ばかり聴いてます。



ーその後、バークリー音大を卒業されてますよね。通うようになったきっかけは?

もともと別のLAの大学に行ってたんですけど、ちょうど僕が日本に帰国していたタイミングでノースリッジ地震(※)が起きたんですよ。それで僕が通ってた音楽デパートメント(学科)も潰れて、LAに戻ったらプレハブ校舎で授業をやってたんです。そこで考え直した結果、バークリーに行こうと。

※1994年1月17日にロサンゼルス市ノースリッジ地方で発生した、アメリカ史上最も経済的損害の大きい地震。

ーバークリーでは作曲やベース、インプロビゼーションを学んでいたそうですが、当時好きだったベーシストは誰ですか。

レッチリのフリーに、ジャコ(・パストリアス)とか。あとはファンク系、例えばジェームス・ブラウンのバンドで弾いてたベーシストとかも好きでした。

ー当時の同級生で、今も一緒にやってる人は?

同じレーベル(Jazzy Sport)のCro-Magnonですね。特にコスガツヨシ(Gt,Ba)はニューアルバムにも参加しているし、楽曲制作やライブ活動も一緒にやってます。

ーバークリー出身だと、年下のKan Sano君ともよく共演してますよね。MARTERさんの過去作にも参加していますし。

そうですね。Charaさんのバンドで演奏するようになったのも、彼から2年前に誘ってもらったのがきっかけで。もともとは2012年くらいに、Red Bull Music Academyのイベントを通じて知り合いました。

ーMARTERと名乗るようになったのは2009年の『weltraumastethik』あたりからだと思いますが、この頃は今とは違った感じの音楽性でしたよね。

あのアルバムはJazzy Sportに入る前に出したもので、ベルリンでトラックを制作しました。ソウルやR&Bも聴きつつ、当時はクラブ・ミュージックに取り組んでいたんです。

ーベルリンに住むようになったのは?

Yamauchi名義のアルバム『Preferable Reality』(2005年)を、イギリスにあるThird Earというレーベルから発表したのがきっかけですね。そこから同じ年にスペインのSónar(※)に出演することができて、そこからヨーロッパに拠点を移そうと。この頃はもっとエレクトロニックな作風で、自分でビートメイクしつつ鍵盤を弾いて歌う、みたいな感じでした。

※1994年にスタートした、アート/テクノロジー/エレクトロニック・ミュージックの祭典。バルセロナを中心に世界各地で開催されている。

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