夏帆とシム・ウンギョンが演じた等身大の孤独と寂しさ

2人が抱く「ブルーアワー」のイメージとは?

─タイトルにもなっている「ブルーアワー」というのは、夜と昼とが混じり合う時間のこと指していて。それって生と死、過去と未来のメタファーにもなっていると思ったんです。そこではあらゆることが起きるというか。お二人は「ブルーアワー」をどんなイメージで捉えていますか?

ウンギョン:静かで誰もいなくて、夢か現実かわからない場所を歩いているような、そんな気分になりますよね。私も子役時代によく、ブルーアワーに撮影することがあったんですけど、なんだか切ないような、寂しいような気持ちになったことを覚えています。あれ、なんだろう。不思議な気分。

夏帆:うん。確かにすごく感傷的になる時間帯だよね。砂田だけじゃなく、多くの人がそう思っているのかもしれないですけど、時が過ぎていくことへの「喪失感」みたいなものってあるじゃないですか。ブルーアワーが訪れ、また1日が始まり、また1日が終わるというその狭間な時間帯って、その喪失感をより強く感じて感傷的な気持ちになるんですよね。

ウンギョン:私は、その時間が小さい頃はイヤでしたね(笑)。特に明け方の撮影とか寂しい気持ちになってしまって。


©2019「ブルーアワーにぶっ飛ばす」製作委員会


©2019「ブルーアワーにぶっ飛ばす」製作委員会

─分かります、気をつけてないとネガティブな気持ちになりますよね。

夏帆:そうそう(笑)。特に夏のブルーアワーって何とも言えない空気感がないですか? 冬は冬で寂しいのだけど、夏の夜明けって、なんでしょうねあれ。自分と向き合わざるを得ないというか……。暑くなると途端にそういうことも忘れるんだけど、その気温の変化が影響しているんですかね。あと、夏休みの記憶も引きずっているのかな。

ウンギョン:でも、今回の撮影のおかげで「ブルーアワーも悪くないな」って思えたので、それは良かったです。

─夏帆さんはロケハンまで同行されたそうですが、茨城はどんな印象を持ちましたか?

夏帆:暑かった……(笑)。茨城って独特ですよね。確かに田舎なんですけど、東京から近いじゃないですか。1時間半あれば行けるし、通おうと思えば通える距離にあって。

ウンギョン:でも、ロケバスで高速を走っていたら、茨城に入った途端おじいちゃんがでっかいバイクに乗ってグァーッて走ってるのを見て、「やっぱり東京とは違うな」と思いました(笑)。

夏帆:実は茨城って、他の映画の撮影でもよく使うんですよね。東京に近い田舎だから。これが飛行機で行かなきゃ辿り着かないような遠い田舎だったら、また随分違った雰囲気だとは思うんですよ。私は東京出身だから、田舎特有の閉鎖的な思いを味わったことがないので、「実家に帰省する」という感覚とか、砂田が抱えていた閉塞感みたいなものを実感として味わったことはないんです。そこは撮影に入る前から監督に確認しました。

ただ、ここにいたらちょっと鬱屈した気持ちにもなるのかなとか、そんなことは感じました。退屈だし、特に面白いこともないし。だけど自分は「何者かになりたい」みたいな葛藤は、想像することは出来ましたね。

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