MAN WITH A MISSION、トロント公演独占レポート 現地で聞いた海外ファンの声

様々な曲に反応する現地のオーディエンス

反応が良かったのは威勢のいいロックチューンだけではない。「Winding Road」や「Emotions」のような泥臭く前向きなメッセージソングもMWAMの魅力だ。Tokyo Tanaka(Vo)の伸びやかなボーカルや日本語詞のメッセージが、場内を共感の渦に巻き込んでいたのが印象的だった。その後の中盤は、DJ Santa Monica(DJ)とSpear Rib(Dr)によるビートセッションや、Jean-Ken Johnnyがアコースティックギターで弾き語る「Chasing the Horizon」も。


Photo by 酒井ダイスケ

ライブ後半になり、再びメンバーがそろってから最初にドロップした「My Hero」と、次の「Take Me Under」はイントロからひときわ大きな歓声。私の後ろの中国系4人組もオオオオーと沸き上がる。「いぬやしき」ってそんなに海外で人気なんだなあ。「スゴククレイジーナ盛リ上ガリデス!」とJean-Ken Johnny。パトリック・スタンプとの共作の新曲「86 Missed Calls」を挟み、この勢いに任せて、Nirvana「Smells Like Teen Spirit」のカバー、さらに「FLY AGAIN 2019」といった屈指のライブアンセムを投下する。観客たちのボルテージは最高潮に達し、ステージ横のスピーカーが揺れるほどの狂喜ぶり。このような中でもプレイは乱れず、アドリブの効いたアジテートも忘れない。さすが国内外で豊富な経験を蓄えるライブ百戦錬磨のオオカミたちだ。

そして「マタスグニココヘ来タイデス。今日ハ来テクレテ本当ニアリガトウゴザイマシタ」と締めの挨拶を送って、「Seven Deadly Sins」へ。この日一番の大合唱がこだまする。楽曲の持つ壮大なホープネスが伝染したように、演者も観客も皆、汗だくの笑顔でライブを楽しんでいた。

鳴り止まない「One more song」に応えてアンコールが実現。Jean-Ken Johnnyは「Toronto is a huge city. But, there another big city in the far east.」と前置きした上で、「Dead End in Tokyo」を振る。Fall Out Boyのパトリック・スタンプがプロデュースしたこの曲は、「Tokyo」「Shinjuku」「Karaoke」といった、日本の個性と世界標準の共通イメージを表したような言葉が散りばめられている。まさに海外ライブで披露するのがふさわしい1曲だろう。


Photo by 酒井ダイスケ

熱狂の一夜を締めくくったのは、代表曲のひとつ「Raise your flag」。日本語の大合唱がこだまする中、Jean-Ken Johnny、Tokyo Tanaka、Kamikaze Boy(B)のフロント3人はモニターの上に乗り、3列目の客まで上半身が覆いかぶさるほどの近さで熱量をぶつける。MWAMが彼ら特有の勇ましいエネルギーを与え続け、オーディエンスがそれに呼応して、さらに大きなエネルギーを生んで共有していた。これがこの夜のハイライトだ。よくこういうライブレポートの締めに「大成功を収めた」と言うが、今日のライブをそう言わずして何を、と思えた。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE