環境問題に声上げる10代の活動家たち「政治的に可能かどうかでなく、何が必要か優先されるべき」

ビジャセニョルは2018年12月以降、毎週金曜日にニューヨークにある国連本部の外で抗議活動を続けている。当時カリフォルニア州デイヴィスに住んでいた彼女は、同州を襲った大規模な山火事をきっかけにムーブメントに参加したという。(Photo by Victoria Will)

新世代のアクティビストたちは気候変動問題に対する大人たちの態度にウンザリしている。そして世界は彼女たち、彼らの声に耳を傾けつつあるのだ。

アクションの源泉は「恐怖」

シューテズカトル・マルティネス(Xiuhtezcatl Martinez)はコロラド州ボルダーにある自宅のリビングルームで、環境問題を扱ったテレビドキュメンタリー『The 11th Hour』を観ていた。生まれて初めて彼は衝撃を受ける。「自然だけでなく人間性も脅威に晒すような危機を作り出したのは人間自身だ、ということを理解し始めた。僕らの文明社会に大いに関係する重要なことだ」と、当時6歳だったマルティネスは言う。米国では、同国政府が気候変動問題から国民を守る努力をしていないとして、子どもたちが政府を相手取り集団訴訟を起こした。マルティネスは21人の原告の一人として名を連ねている。訴訟を起こした時の年齢は15歳。2019年5月に彼は19歳になった。同年6月、ついに審理が始まる。

将来の地球上における居住適性について科学者らが警告の声を次々と上げる一方で、気候変動問題への行動を呼びかける活動家たちも特に若年層で活発化している。若き活動家の多くは投票権を持たないものの、学校でのストライキを呼びかけ、訴訟を起こし、米国会議事堂前で抗議の座り込みを行うなど、自分たちの声を届ける努力を続けている。2019年3月15日、ティーンエイジのスウェーデン人活動家グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)に触発され、世界各国で100万人以上の生徒・学生が街へ繰り出し、炭素排出量を削減できずにいるだらしない大人たちへ抗議の声を上げた。

「私たちはパニックを起こしている。恐怖を感じているのだ」と、気候変動問題活動団体Zero Hourの創設者で17歳のジェイミー・マーゴリン(Jamie Margolin)は言う。「社会的な大惨事が差し迫っているのを感じる。にもかかわらず各国のリーダーによる対応は皆、子ども染みている」と彼女は非難する。唯一彼女が認める大人は、グリーン・ニューディールのようにシステム全体の見直しを図る政策を推進する政治家らだけだ。グリーン・ニューディールは、ミレニアル世代のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)連邦下院議員が提唱した政策で、同議員は気候変動問題対策を「我々世代の公民権運動」と呼んでいる。

「気候変動問題ムーブメントは、以前から若い人たちが先導してきた」とベテラン活動家のビル・マッキベンは言う。「活動に関わる若者たちのほとんどが、年齢を重ねても活動を続けているのは喜ばしいこと。気候変動問題でストライキを行う若者たちが、明日は議員や市長になるのだ」と言うマッキベンに、マーゴリンも同意する。「私は国会議員や大統領にだってなれると思う。自分の理想とするリーダーを目指したい」

ローリングストーン誌では、このムーブメントの先頭に立つ若きリーダーたちと会い、彼らが活動に参加したきっかけや彼らの目指すものを聞いた。

Translated by Smokva Tokyo

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