環境問題に声上げる10代の活動家たち「政治的に可能かどうかでなく、何が必要か優先されるべき」

「子どもたちが政治に関わる方法を誰も教えてくれない」

・アレクサンドリア・ビジャセニョル
年齢:13歳
居住地:ニューヨーク
所属団体:Earth Uprising

アレクサンドリア・ビジャセニョルは2018年12月以降、毎週金曜日にニューヨークにある国連本部の外で抗議活動を続けている。当時カリフォルニア州デイヴィスに住んでいた彼女は、同州を襲った大規模な山火事をきっかけにムーブメントに参加したという。「デイヴィスの中心部では皆、火事の煙を吸い込んで健康を害していた。喘息を患う私にとって、酷い状況だった」と彼女は言う。ところが彼女の抗議の声は、極右サイトのブライトバート(Breitbart)で取り上げられ、サイトの訪問者から脅迫のコメントが寄せられた。「娘のしていることに初めて恐怖を感じた」と、彼女の母親クリスティン・ホーグ(Kristin Hogue)は言う。しかしビジャセニョルは臆することなく非営利団体Earth Uprisingを立ち上げ、直接アクションをし、学校のカリキュラムを提案しようとしている。気候変動について書かれた科学者らの論文に少し手を加え、「教師の側から教わるのでなく、生徒から教師側へ提供」する形のカリキュラムだ。彼女の抗議活動は止まらない。「両親にとって私は、とても言うことを聞かない子だった。親というのは、子どもの望みを叶えなければならないから」


Photo by Victoria Will

・イズラ・ヒルシ
年齢:16歳
居住地:ミネアポリス
所属団体:U.S. Youth Climate Strike

2019年3月に行われた全米気候変動問題ストライキのリーダーのひとりを務めたイズラ・ヒルシにとって、高校生の時に環境クラブへ所属したところから全てが始まった。やがて彼女は地方議会へのロビー活動を始め、2030年までにミネアポリスで使用する電力を100%再生可能なものにするよう主張した。「議会では2050年を目標にしようとし、事態はなかなか進まなかった。政治的に可能かどうかでなく、“何が必要か”が優先されるべき」と彼女は言う。活動家でもある母親のイルハン・オマール下院議員と彼女との間の類似点についてはどうだろうか? 「私は私のすべきことをし、彼女は彼女のすべきことをしている。ただの偶然にすぎない」


「議会では2050年を目標に、100%再生可能なエネルギーにしようとしたけど、事態はなかなか進まなかった。政治的に可能かどうかでなく、“何が必要か”が優先されるべき」(Photo by Nate Ryan)

・ジェイミー・マーゴリン
年齢:17歳
居住地:シアトル
所属団体:Zero Hour

「子どもたちが政治に関わる方法を誰も教えてくれない」とジェイミー・マーゴリンは言う。そこで彼女は、Instagramという自分に馴染みのある方法を取る。ワシントンDCで若い世代によるデモができないかと思いアップしたひとつの投稿が、活動家のネットワークであるZero Hourの立ち上げにつながった。現在彼女は他の3人と共にZero Hourを運営し、2018年夏にはワシントンモールや他の25の都市におけるデモ活動を組織した。Zero Hourは現在、有色人種の若者らの声を高めることに注力している。彼女曰く、気候変動によって最も直接的に影響を受けるのは彼らだという。「CNNにチャンネルを合わせれば、ジェイ・インスレー、アル・ゴア、番組『Bill Nye the Science Guy』の司会者ビル・ナイらが気候変動問題について語っている。悪いことではない。でもどんな問題においても、最も影響を受ける人たちが声を上げるべきだ」と彼女は言う。


Photo by Jenny Riffle

・シューテズカトル・マルティネス
年齢:19歳
居住地:コロラド州ボルダー
所属団体:Earth Guardians

「よちよち歩きを始める前から抗議活動をしていた」とシューテズカトル・マルティネスは言う。決して大げさな話ではない。6歳だった彼は親たちを前に、いかに地球が大切なものかを自分の子どもたちへ教えるよう説いた。これが初めての公共の場でのスピーチだった。15歳になると、米国政府が炭素排出量削減を実現できないことが子どもたちの権利を侵害していると主張する法理論を検証する訴訟に参加し、国連に訴えかけ、オバマ大統領による青少年協議会にも参加した。「考えたこともない方法で政治に関わるための猛烈な力を与えられた」と、母親の設立した非営利団体Earth Guardiansで青年部の責任者を務めるマルティネスは言う。「自分よりもかなり年上の人たちと会話する機会が与えられた。おかげで僕は多くの希望を持つことができた」


Photo by Tristan Spinski

・ヘイヴン・コールマン
年齢:13歳
居住地:デンバー
所属団体:U.S. Youth Climate Strike

U.S. Youth Climate Strikeの共同理事を務めるヘイヴン・コールマンは、コロラド・スプリングスにあるマーティン・ドレーク火力発電所への抗議活動を皮切りに、地元選出のコリー・ガードナー上院議員が火力発電の関連企業から支援を受けていることにも抗議した。5年生の社会科の授業で森林伐採について学んだ彼女は、気候変動問題に目覚める。「私は『今すぐ何かを始めなきゃ』という感じだった。私の人生全てが影響を受けようとしていた。私の知る全ての人たちが影響を受けている」


写真中央がコールマン(Photo by Greg Mionske)

Translated by Smokva Tokyo

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