独占|テイラー・スウィフト、ローリングストーン誌インタビュー|完全翻訳版

米ローリングストーン誌の表紙を飾ったテイラー・スウィフト(Erik Madigan Heck for Rolling Stone)


ーある意味、音楽的な面では、『ラヴァー』はあなたのアルバムの中でももっともインディーズ色が強いような気がします。

それは嬉しいわ、ありがとう。確かに変わってるアルバムよね。今回のアルバムでは、ずっと昔に書いていたテーマに戻ってもいいかなという気がしたの。新しい視点から視点からできたらって。昔の楽器――私が昔使っていた楽器、という意味よ――も使ってみたり。『1989』を制作していた時、私は80年代のポップという大きなコンセプトで頭がいっぱいだった。80年代に作られたものから、80年代風のものまで全部ひっくるめて――どうしようもないほど壮大なコンセプトだったの。『レピュテーション』でタイトルを全部小文字にしたのも理由があるのよ。どう転んでも商業的なアルバムじゃないなって気がしたの。おかしなものよね、だってあのアルバムはかなりの量の説明が必要だったのに、私は詳しく語らなかったんだから。ファンには、『レピュテーション』のシークレットセッションでちゃんと説明しなきゃいけなかった。「このアルバムでは、いままでやったことのない新しい事にチャレンジするわよ」って。それまでキャラクターを演じることはやったことがなかったのよね。ほとんどのポップスターは得意かもしれないわね、「これが私の分身です」って感じで。私はそういうのをやったことがなかったの。すごく楽しいわね。ツアーでもやったけど――感情のローラーコースターみたいなアルバムの、ダークな面や破天荒な面、ニヒルさや愛くるしくしさ、感情のアップダウンを演じるのはすごく楽しかったわ。



撮影:Erik Madigan Heck 衣装:ルイ・ヴィトン イヤリング:Jessica McCormack

ー「デイライト」は美しい曲ですね。タイトルトラックでもおかしくないくらいです。

そうしようかなとも思ったの。でもちょっとセンチメンタルすぎるかなって。

ー鼻につくところもあるかもしれませんね。

そう、そうなの。かなり鼻につくのよ。私もそう思ったの、頭の中でずっとアルバムのタイトルを『デイライト』にしようかと思ってたから。でも『ラヴァー』のほうがピンときたのよね。頭の中でしっくりきたし、コンセプトとして柔軟性もあった。だから「ユー・ニード・トゥ・カーム・ダウン」もアルバム全体のテーマにはまった。ある種の人々は、恋愛対象にもとづいた差別がないと生きていくことができない、っていう歌よ。

ーアルバムの中でもよりオーガニックな楽曲、たとえば「ラヴァー」や「ペーパー・リングス」では結婚式のバンドをイメージしたと言っていましたね。そうした視覚イメージから曲を作ることはよくあるんですか?

たまに、この曲はどこで演奏されるかなって変な想像をするの。「ペーパー・リングス」とか「ラヴァー」の場合は結婚披露宴のバンドをイメージした。ただし、70年代のね。だから、当時まだ世に出ていない楽器は使えない。そういうことを全部想像していくの。『レピュテーション』の時は真夜中の摩天楼だった。どんな些細なものも一切、伝統的なアコースティック楽器は使いたくなかった。私が思い描いたのは、さびれた古い倉庫街とか、工場地区とか、そういうインダストリアルなイメージ。だからウッドなものは使いたくなかった。あのアルバムに関しては、床も木じゃなかったのよ。『ラヴァー』は完全に木造の納屋の床と、風に舞う裂けたカーテンと、花畑。あとはベルベットね。

ー高校生活をメタファーにして政治を語るという「ミス・アメリカーナ&ザ・ハートブレイク・プリンス」のアイデアはどこから思いついたんですか?

あの曲に限っていえば、いろんな影響を受けてるの。曲を書いたのが中間選挙の2か月前で、政治をテーマに取り上げようと思って、うまく表現できる場所を探してた。それで伝統的なアメリカのハイスクールを思いついた。あそこなら社交行事の類がたくさんあって、誰かしら疎外感を感じる人が出てくるでしょ。今のアメリカの政治情勢では大勢の人々が、見物席の下にこっそり隠れて、世の中をもっとよくするプランを練らなきゃと感じていると思うの。

ーフォール・アウト・ボーイのファンだということも、あのタイトルに込められているのかなと思いました。

フォール・アウト・ボーイは大好きよ。彼らの曲作り、とくに歌詞の面で本当に影響を受けたわ。多分、他の誰よりも影響されたんじゃないかしら。彼らはフレーズにヒネリを加えるのよ。「武装した神コンプレックス/弾を込めて引き金を引くか?」 あれを聞いたとき、「うそでしょ、最高」って思ったわ。

ー「私の目の前で焼かれていくアメリカの物語」を歌っています。アメリカらしさの幻想とはどういうものですか?

政治情勢がこんな風になる前に、私が抱いていたアメリカらしさの幻想。あるいは、私たちがかつて抱いていた純真さ。アメリカで暮らす人々、ただ毎日穏やかに暮らして、生計を立てて、家族を持って、愛する人を大事にすることを願う人々が、他人の権利が奪われるのを目にする、あるいは他人が祖国でのけ者扱いされるのを目にする、ということでもある。「悪い奴らがハイファイブしてるのが見える」っていうくだりを入れてみたんだけど、その理由は、今の政治情勢では人種差別的な恐ろしい潜在意識が前面に押し出されるだけでなく、そういう考えを表に出す人々やそういうものの見方をする人たちが声高に称賛しているからなの。恐ろしいわよね。

ーあなたは、金髪で、青い目をした時代の寵児という特殊な立場にいます。あなたが民主党候補支持を公表するまで、右派やもっとたちの悪い連中は、あなたが自分たちの味方だと思っていたようですが。

いまではそうは思ってないでしょうね。ええ、あれは本当にはた迷惑だった。私は実際に騒動になるまで知らなかったの。だってその時点で、私はもうずっと長いこと携帯でネットはやってなかったから。チームと家族が、私がまずい立場にいるってすごく心配してた。それで私には内緒でいろいろ対処してくれたの。そういうことがあったのは人生であの時だけね。私はいつも自分が操縦席に座っていたいタイプなのよ。自分の人生は自分の思い通りに進めたい。でもあの時は私もまるでお手上げ状態で、「みんな、私には無理。どうにもできない。お願いだから変わってちょうだい、このまま消えちゃいたい」って感じだった。

ー白人至上主義者のサイトで、あなたが彼らの仲間だと書かれていたことですね?

私は実際に見たわけじゃないんだけど、でももしそうなら最悪だわ。文字通り、白人至上主義以上に最悪なものなんてない。忌まわしい。世の中にあってはならないものだわ。実際、私もできるだけ政治について勉強しようとしているの。いま私が一番気になっているのも政治のこと。でも以前は政治的なことは曖昧にしてきた。私が投票した人が当選したから。あの時はいい時代だったわね、オバマが大統領で、海外諸国からリスペクトされて。誰もが、この誉高い人物をホワイトハウスに送りこめたと大興奮だった。私は人生初の選挙で彼に投票して、そして彼が就任した。再選の時にも彼に投票したわ。みんな私と同じだと思うけど、まさかこんなことになるとは思ってもみなかった。でも今は、2020年の大統領選挙に注目してるわ。本気で注目してるのよ。どうすれば邪魔にならずにサポートできるか、って。また反発を招くようなことはごめんだし、ヒラリーの時は有名人が選挙活動に関与したことが裏目に出てしまった気がするから。

ーあなたの場合、関与しないことでかなり叩かれていましたね。その点に関して「ほっといて」と言わずに、あの年の11月、選挙に行くよう呼びかけたことに関して、なにか後悔していますか?

もちろんよ。ええ。いつもものすごく後悔してる。いまじゃ日課みたいになってるわ。

ー反発を受けるだろうと思い込んでいたから?

まさにその通りよ。大勢の人が自分を嫌っていて、それが数字に表れてると本気で思っているときは、ものすごく強烈よ。絶対的多数なんですもの。大げさに言っているわけじゃなくてね。わかるでしょ。

ーでもスタジアムは超満員でしたよ。

確かにそうね。でも、それは2年後の話でしょ……思うんだけど、私たちは党としてもっと団結するべきだわ。共和党なら、赤い帽子をかぶれば即仲間入りでしょ。もし何か変化を起こそうと思うなら団結しなくちゃ。誰それはこっち側だとか、誰それの主張は正しいかとか、誰それの言い方はおかしいんじゃないかとか、イチャモンつけるのは止めるべきよ。正しい民主党も、間違った民主党もないでしょう。ただ「あなた民主党? あらやだ。車に乗って。集会に行くわよ」って言えばいいのよ。

Translated by Akiko Kato

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