独占|テイラー・スウィフト、ローリングストーン誌インタビュー|完全翻訳版

米ローリングストーン誌の表紙を飾ったテイラー・スウィフト(Erik Madigan Heck for Rolling Stone)


ー前にこんな曲を歌っていましたよね、「お金と尊厳を奪って、まんまと逃げおおせた」スターの曲です。2016年、あなたも「この夏は黙示録だ」と日記に書いています。完全に引退するところまでかなり近づいていたんでしょうか?

確かに、それについてはかなり考えたわ。私にとっては、言葉が自己表現と世界を理解する唯一の手段だと思っていたけど――今では私が口にすること書くことすべてが、私の意に反して歪められてしまう。世間は憎みあいが好きなのね。ピラニアみたい。みんな喜んで私を嫌ってたし、嫌うのにとくに理由なんかいらなかった。手が付けられない状態だと思ったわ。かなり棘のある詩を大量に、毎日のように書いてた。表には出せないようなこともたくさん書いたわ。自己嫌悪のスパイラルに陥った時の気分とかね。そこから何をどう学べばいいか見当もつかなかった。だって、自分のしたことがここまで間違っているとは思えなかったんだもの。本当につらかったわ。私って、周りが批判を受けとめてくれないのが耐えられないタイプなのよ。だから自己分析して、ものすごく傷つくことがあるとしても、どうして人々が私を嫌うようになったのか理解しようとするの。それで、なぜ人々が私を好きじゃないかはっきり分かったわ。なぜなら、私は自分の不安を武器に表現してきたから。それも、1000倍も悪いことをね。

ーですが、かつてあなたを批判していた人も、いまは仲がいいですよね?

仲のいい友人の中には、かつて私のことをおおっぴらに批判してきた人もいるわ。でもそれが会話を生むきっかけになった。ヘイリー・キヨコはインタビューで例を挙げて、私はストレートの恋愛関係を歌ってるから、彼女が女の子について歌うときに世間から受けるような批判を受けずに済んでる、と言ってた。それは完全に当たってるわ。エラ(エラ・ロードのこと)が初めて私について語ったのは、私のイメージかなんかに対する批判だった。でも「お前は人間としてフェイクだ」って言われても、私は反応のしようがないわ。被害妄想だって言われたら、自分の気持ちはポジティブなこと以外、完全に言葉にできなくなってしまうじゃない。なら、OK、いつもニコニコして自分を傷つけることは絶対言わないようにすればいいわけ? それこそフェイクだわ。もしくは、自分の気持ちに正直になって、人生で起きたことにまっすぐ正直に向き合うべき? でも待って、それって被害妄想っていうのかしら?

ーそうした思考の罠からどうやって抜け出しているんですか?

私は15歳の時からずっと、人から何か批判されたことは変えてきた。ひょっとしたら自分は人から批判されてきた通りなのかもしれない、自分で選んできた人間じゃないのかもしれないってことに気がつくの。だから私も、静かな生活を送らなきゃと思った。静かな隠遁生活なら、議論も、不和も、諍いも起きないでしょ。まさか私が周りをそのかして、まるでTVゲームみたいに私の人生を操る権利があると思わせてたとは、考えもしなかったわ。

ー「昔のテイラーはただいま電話に出られません。なぜかって? 彼女は死んだからよ!」あれは面白かったですね――でも、どこまで本気にしていいんですか?

私の中には、つねに他の人とは違っていたい、という部分があるのよね。私はいろんな意味で成長する必要があった。境界もたくさん作って、どこまでが自分でどこからが他人かを見定める必要があった。昔の私はなにがなんでも世間と共有したがってたけど、多分共有する相手としてはふさわしくなかったのね。そういう私はいなくなったと思うわ。でも確か、あれはジャック(・アントノフ)と一緒にスタジオで遊んでたときね、電話で何かやろうって思ったの。あれがすべての始まりだったのよ。本来出るべきではなかったいたずら電話、っていうところから。


ドリームチーム:スウィフトと『ラヴァー』の大半をプロデュースしたアントノフ
写真提供:TAS Rights Management

ー実際に言葉にしていたら、ずっと楽だったでしょうね。

口にしていたら、ずっと、ずっと良かったのにね(笑)

ーとはいえ、『ラヴァー』の中には、昔のテイラー復活を象徴するような箇所もいくつかありますね。

今回のアルバム以上に、昔の自分を音楽的に見つめ直したことはないと思う。このアルバムはすごく、すごく自伝的なの。と同時に超キャッチーな部分もあるし、超個人的な告白もある。

ーあの電話の件に関して、あなたの側に非はあったと思いますか? 後悔していることはありますか?

世間は、事に至るまでの経緯と出来事を理解していなかった。この手のことが起こる際には、必ず前振りがあるものでしょ。いくつかの出来事が重なって、彼が私をビッチ呼ばわりした時に、私がプチッと切れちゃったの。単独の出来事だけじゃないのよ。とにかく彼と私との関係性がいやになったの。電話の一件やあの曲だけじゃなくてね――いろんなことが連鎖反応したって感じなの。

私はやり直せたかなという気がして、すごく気分が良かった。だって2009年の一件以来、私のキャリアの最重要事項は彼にリスペクトしてもらうことだったから。誰かに大声で蔑まれて、お前はここにいる資格はないって言われたのよ。彼にはなんとしてもリスペクトしてもらいたかった。「私を毛嫌いするあの男、あいつから絶対認めてもらうんだ」っていう感じだった。その点は私も反省するわ。でも、あの時はそういう気持ちだったのよ。それでディナーに行ったりとかしたわけ。すごく嬉しかった、だって彼、私の音楽については本当にいいことを言ってくれたのよ。子供のころや、19歳の時に否定されたことが癒えていく感じがした。それで2015年のビデオ・ミュージック・アウォード(VMA)の一件があった。彼はヴァンガード賞を受賞することになってて、事前に私に電話してきたの――私は違法な電話録音なんかしてないから、聞かせられないけど。とにかく彼が電話してきて、多分授賞式の1週間前かそこらよ、小一時間ぐらい話をしたわ。「俺はマジで、あんたからこの賞を授与してもらいたいんだ、自分にとってはすごく大事なことなんだ」って言って、その理由をつらつら並べたの。だって彼、すごく優しくなるのよ。世界一優しいなってときもあるの。それで私も、彼からお願いされたもんだから感激しちゃって。スピーチを用意して、一緒にVMAに行って、スピーチしたら、彼がこう叫んだの。「MTVがこの賞のプレゼンターにテイラー・スウィフトをブッキングしたのは視聴率のためだ」って[註:正確には、「奴らが何度も何度もテイラーがこの賞のプレゼンターをするって宣伝してたおかげで、視聴率があがったのはみんなも知ってるだろ?」と言った]。私は客席で彼の奥さんに腕を回しながら、背筋が凍る思いをした。彼が二枚舌だってことに気が付いたの。彼は裏では私にやさしくしておきながら、みんなの前ではクールに振舞って、口から出まかせを言うんだってね。すごく頭にきた。彼は授賞式の後、楽屋で話をしようって言ったけど、私は行かなかった。そしたら次の日、こーんなに大きな花束を送ってきて謝罪してきた。だから「いい? 私はもうこれ以上関係をこじらせたくないの。だからいいわよ、水に流してあげるわ」って言ったの。そしたら彼が電話をかけてきた。私に敬意を払ってくれるんだろうなと思って嬉しかったの。それであの曲の歌詞の話になったのよ。

ー「……俺とテイラーは今でもセックスしてるかもな」という歌詞ですね?

[頷いて]それで私も「OK、いいわ、これで仲直りね」って言ったの。でも曲を聞いたら、「もう無理。あなたが仲違いしたいならそうしましょう、でも本気だからね」ってなった。彼は文字通り同じことをドレイクにもしたのよ。彼はドレイクの家族や彼らの生活も引っ掻き回した。同じことよ。相手に近づいて、信頼を勝ち取って、そしてぶち壊す。もうこれ以上話したくないのよね、だってもううんざりだもの。1日中ネガティブなことばかり話していたくない。でもまったく同じよ。ドレイクに事の顛末を聞いてみるといいわ[註:カニエ・ウェストは、ドレイクの子供についてプッシャーTが暴露した件には一切絡んでいないと主張し、ドレイクに対しては“負のエネルギー”をぶつけたことを謝罪した]。

ー『ラヴァー』のオープニングトラック「アイ・フォガット・ザット・ユー・イグジステッド」で語られている状況に陥ったのはいつですか?

『レピュテーション』ツアーの最中、音楽人生で一番大きな気持ちの変化があったの。あのツアーの私はかつてないほど健康で、バランスが取れた状態だった。ツアーの後には悪いことが起こるものだけど、もう打ちのめされることはなかった。数か月前にスコット(・ボルチェッタ)との間で起きたことも、3年前の私なら打ちのめされて泣き寝入りしてたでしょうね。びびって反論できなかったと思うわ。あのツアーのおかげで、世間の見方と距離を置くことができた。昔は、世間からどう見られるか、ということに自分のアイデンティティのすべてを置いていたの。今思えばとんでもなく不健全だったわね。

ー実際、どんな悟りがあったんですか?

私の仕事はエンターテイナーなんだってことを、前よりずっと明確に感じたってことに尽きるでしょうね。私もつい大げさに考えがちで、メディアも大げさに騒ぎたててるでしょう。私たちはみな戦場にいて、1人が生き残る以外は全員死ぬんだ、みたいな考え方に陥るけど、そういうのとは違うの。そうじゃなくて、「いい? ケイティは伝説になる。ガガも伝説になる。ビヨンセも、リアーナも伝説になる。なぜなら彼女たちの作品は、ワンクリックの24時間ニュースサイトみたいなクズとは比べものにならないからよ」って感じ。ツアー中にいろんな人の顔を見てるうちに、私もそれとなく気づいたの。私たちは人々を楽しませてるだけ、だったら楽しくあるべきだって。

ー 一連のアルバムを三部作としてみると面白いですね。『1989』がリセットボタンになっているわけですが。

たしかにその通りね。私はずっと声を大にして、これは私の決断、私だけの決断だって言い続けてきた。内部からはものすごい反発があったのよ。

ー昔のレーベルの上司、スコット・ボルチェッタとの関係が必ずしも良好というわけではなかったことが明るみになった今、この手のもめごとが実はまだまだあったんじゃないかとつい想像してしまいます。

クリエイティブな面で私が成し遂げてきた業績は、実現させるためには本気で戦わなくてはならなかったことばかり――それも相当激しい戦いをね。でもね、私は彼とは違うから、過去についてくだらない言いがかりをするつもりはないわ……15年も仕事上の付き合いがあれば、山あり谷ありいろいろあるものよ。でも私は本気で思ってたの、彼には子供がいないから、私を実の娘のように見てくれているんだと信じてたの。最悪な時期もあったし、意見の衝突もあったけど、私はいいことだけを見ていくつもりだった。彼とは友達でいたかった。裏切りがどんなものかわかっていたつもりだったけど、今回彼との間で起きたことで、私の中で裏切りの定義が変わったわね。だって家族同然だったんだもの。実の娘と思われていたという気持ちから、「ああ、所詮私は彼にとって、手塩にかけて育てた優秀な子牛でしかなかったんだ、高値が付いたら屠殺場に売り飛ばすつもりだったんだ」っていうドロドロした気分になったわ。

ー彼はパークランドのデモ行進を断ったのも、マンチェスターのチャリティコンサートを断ったのもあなただと非難していますが。

信じられない。いい?スクーター・ブラウンが話を持ちかけるとしても、私のところには持ってこないってことは私のチーム全員が知ってるわ。彼がスクーター・ブラウンについていろいろ言っていたのに、あの2人がビジネスで手を組むなんて――それが私にはショックだわ。文字通り、本当に驚いた。お金も権力もある2人の男性が、他人のお金を3億ドルも使って、もっとも女性的な作品を購入するなんて。しかもその後2人で木造のバーに立ってくだらない写真を撮って、スコッチのグラスを傾けてるんだから。私は彼らに出し抜かれて、それも上手いこと出し抜かれたもんだから、まさかこんなことが起きるとは思わなかった。だから何も口出しできなかったの。

Translated by Akiko Kato

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