フライング・ロータスを変えた音楽学習「クレイジーなものを作るには基礎が必要だ」

フライング・ロータス(Courtesy of BEAT RECORDS)



俺とサンダーキャットは、お互いの弱点をカバーし合っている

―本作ではサンダーキャットが大きな役割を果たしているように思いましたが、どうですか?

フライロー:そうだね。俺とサンダーキャットの場合、しょっちゅう一緒に何かを作ってるんだ。アルバムが完成したから休むわけじゃなくて、完成した次の日も一緒に音作りをしてるんだよ。一緒に音作りをして、どれが誰の曲かって特定することが難しいんだ。彼も俺も同時にアルバムを作ってたけど、一緒にレコーディングしてると、誰の作品のためにレコーディングしてるのかもわからなくなる。ただ純粋に一緒にクリエイトしてるだけなんだ。「この曲はこの作品にフィットするから入れよう」とか、そういう感じだね。最近のサンダーキャットは、プロデューサーとしての才能も開花していて、プロデューサーとしての個性とセンスに磨きをかけている。だから、一緒に作業していると、プロデューサー的視点でいいアイデアを提案してくれるんだ。二人とも、お互いの弱点をカバーしようとしていて、彼はプロデューサーとしてのスキルを上げてきてるし、俺はミュージシャンとしてのスキルを磨こうとしてる。

―ブレインフィーダーの近年のリリースでは、サンダーキャットやブランドン・コールマンの作品や、ルイス・コール『Time』のようにメロディアスでキャッチーな、ポップソング的な魅力がある作品が増えている印象があります。『Flamagra』も一曲ずつが「トラック」や「ビート」というよりは、「ソング」的な構造の曲が多くなっている気がしますが、その点についてはどう思いますか?

フライロー:そうだね。正直言って、彼らから結構インスピレーションを受けたよ。ルイス・コールとブランドンの作品はよく聴いてたし、彼らからは多大な刺激を受けた。それと同時に、俺は個人的に歌詞や言葉にもっと興味が出てきて、ボーカルを入れたくなるようなオープンで空間のある曲を作ってたんだ。だから、自分の中の自然な欲求に導かれて曲を作ってたんだよ。でも最近作ってる曲は、またインスト中心になってる。だから、常に変化してるんだ。

―例えば、「Spontaneous」はポップでメロウな楽曲ですが、これはどんなプロセスで作ったのか教えてください。

フライロー:Instagramに曲が生まれた瞬間がアップされてるよ。友人に撮影してもらっていて、「今すぐ曲を作ってみて」って言われたんだけど、あの曲はその時に誕生したんだ。こういう曲が生まれてくることは、自分でも想像できなかった。曲のタイトルの通り、本当に即興的に生まれたんだ。素晴らしい瞬間をカメラで押さえてもらったよ。

―友達が撮影していて、あなたが即興的に演奏したフレーズが曲になったわけですか?

フライロー:そうなんだ(笑)。

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―あなたは『Flamagra』の制作にあたって、サンダーキャットやミゲル・アトウッド・ファーガソンから音楽理論を学び直したんですよね。本作はこれまでの作品の中でもハーモニーの響きは一番だと思います。彼らから教わったコードやハーモニーがきっかけで、それを発展させてできた曲はありますか?

フライロー:アルバム全体がそうだよ。特に「Find Your Own Way Home」「Andromeda」がそうだったかな。すごくテクニカルな曲じゃないけど、メロディの面で、ちょうど俺がレッスンで学んだ知識が反映されている。でも、クレイジーなプログラミングで言えば、さっきも挙げた「Takashi」が一番凄いと思う。

―「Andromeda」などは、今まで演奏したことがないコードから始まったんですか?

フライロー:その通り。どの曲もだいたいそう。やったことがないコード進行を試してみたり、いろいろ実験していくうちにアイデアが湧いてくるんだ。そのコード進行を指で覚えて、違うリズムやスピードで演奏してみて、そこから曲の形が見えてくるという。最近はピアノだけで作曲して、そこから曲を作ってるんだ。今ちょうど新曲を作ってるんだけど、1週間前からこの曲を演奏していて、まだレコーディングはしていない。どういう曲になるかまだわからないんだけど、雰囲気やコード、メロディの方向性だけは見えている。このメロディをシンセで演奏することもできるし、ストリングスの音色で演奏することもできるけど、今のところはアコースティックピアノの音色でしかメロディを聞けてないんだ。でもそれは後で変わるかもしれない。



―本作はこれまでの作品の中で、リズムセクションが作るグルーヴの気持ちよさも随一だと思います。彼らから教わったグルーヴの方法やリズムがきっかけでできた曲はありますか?

フライロー:わからないな、逆にライターはどう思ってるんだろう?(笑)。「Pilgrim Side Eye」はクレイジーだと思う。あの曲を聴くと「俺は何を考えてたんだろう?」って思うよ。シャバズ・パレセズをフィーチャーしてる「Virtual」もすごいね。クレイジーなパーカッションが入ってるんだ。

―それはプログラミングから生まれたんですか? それとも生のドラム?

フライロー:プログラミングだね。自然とあのリズムが出てきたんだ。「Pilgrim Side Eye」を作った時は、俺とサンダーキャットとハービーハンコックがスタジオで演奏していて、あのヘンなリズムに合わせて、ハービーがアニメっぽいメロディを演奏し始めたんだ。なんか『ルーニー・テューンズ』っぽいなと思って、すごく面白いから曲に仕上げたんだ(笑)。


Translated by Hashim Kotaro Bharoocha

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